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 YouTuber関連のニュースにおいて、不倫や浮気などのスキャンダル、逮捕や事案などの犯罪行為、暴露系や爆買いや過激な行動などのセンセーショナルな話題が目立つようになりました。こうした。いわゆる「下世話な話題」に関するニュースはアクセス数やビュー数が集めやすいトピックです。週刊誌やワイドショーも、度々このようなスキャンダルを取り上げます。

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 基本的にコンテンツを供給する側は、受け手側の趣向に合わせてコンテンツを制作するので、視聴者や読み手が求めているトピックを扱います。それが発信側と受け手側の両方のメリットになるからです。このコラムにおいても、閲覧数や拡散数の多いトピックを題材にしようと考え、話題を毎週チェックするのですが、正直、(もっとマシな話題はないのかな…)と思うこともしばしばです。このような状況の中で、「これは」と思うようなトピックがありました。YouTuberが、いじめ告発の手助けをしたというニュースです。

「超無課金」名義でゲーム実況をされている「石田拳智」さんが、動画で視聴者の男子高校生が受けたいじめを告発しました。動画の反響は大きく、450万回以上再生され、学校名も公表されたことで、市教育委員会がいじめを認定し、第三者委員会による調査を開始しました。高校生によると、いじめは学校に相談しても解決せず、自身が不登校になっていることをツイッターで石田さんに相談したそうです。YouTuberに相談することによって、物事が進展した、といえます。

 いじめの問題は、解決が難しい問題です。学校側や加害者側が発覚を恐れて隠蔽したり、学校に相談することによって、加害者側を刺激してしまったり、従来よりも事態が悪化することもあります。今回、YouTuberという世間に影響力をもつインフルエンサーが対応したことで、世論を動かし、学校や教育委員会が対応せざるを得なくなりました。

 もともと企業や学校が何かを隠蔽する理由は、世間の反応を恐れるためだと思います。そのため、今回のようにインフルエンサーを利用し、外部の力を使って世論を動かすことは非常に効果的な手段なのかもしれません。もともとインターネットは弱者のためのツールという側面を持ち、内部告発がしやすいフィールドです。さらに、個人的な感覚ではありますが、YouTuberには学生時代に学校になじめなかったり、いじめられたことがあり、不登校になったことのある人が、他の業種よりも多い職業だと感じます。Twitterにおける有名人も同様で、いじめ被害者の味方となる人は非常に多いように思います。今後、いじめや労働問題などの告発の手段として、SNSがより主流となる可能性は高く、学校や加害者も実名をさらされるリスクを負うことで、誠実な対応が求められたり、再犯の抑止になると言えます。

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