3月18日に入団会見を行った鈴木はさっそくチームのキャンプに合流。初日に行ったフリー打撃では26スイング中9本の柵越え、うち1本は推定130mの特大弾を披露した。キャンプ中の鈴木の様子について、カブスのデビッド・ロス監督は「彼は勤勉で、素晴らしい選手だ」と高く評価。また、鈴木はチーム内に早くも溶け込んでおり、持ち前の明るさとユーモアで現地ではすでに人気を集めている。
その証拠に、鈴木はMLBでの実戦デビューとなった3月25日のロッキーズとのオープン戦に「2番・右翼」で出場し、2打席とも見逃し三振という結果であったものの、カブスの地元メディア『シカゴ・サンタイムズ』は「スローンスタジアム(本拠地)の観客は、スピーカーから鈴木の名前が呼ばれると、打席に入る彼を温かい拍手喝采で迎えた」と伝え、ファンからも大いに歓迎されている。
もちろん、鈴木に対する期待は高い。3月26日の『CBSニュース』による今年のカブスの打順予想によれば、鈴木は「4番・右翼」で出場すると書かれている。ただ、1カ月弱しかないキャンプ期間は、メジャーへのアジャストが必要な1年目の鈴木にはあまりに短すぎるだろう。しかし、現地も不利な状況であることに理解は示している。序盤は苦戦を強いられるかもしれないが、前述のように持ち前の明るさと、現地でも5ツールプレーヤーと評される高い能力で、1年目から活躍できることを期待したい。
最後は、パイレーツの筒香。昨季途中からパイレーツに移籍した筒香は、今や同球団の主砲として大きな期待が寄せられている。地元紙『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』は3月26日付の記事で、「春季キャンプ:筒香は熱い春を過ごしている」と打撃が上向きな状態であると伝えている。
それは成績にもしっかりと表れている。筒香は26日までのオープン戦5試合の出場で、12打数6安打、打率.5割と驚異的な数字を残している。その内訳も、2二塁打、1本塁打と長打力も発揮しており、OPS(出塁率と長打率を足した数値)は1.517。さらに、26日のオリオールズ戦では3打数3安打の猛打賞に加え、この試合で4試合連続安打という記録も残している。『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』が言うように、今春の筒香は打撃が止まらない状態だ。
開幕後の姿が早く見たいと思わせる筒香ではあるが、今季の打順も大いに気になるところだ。スポーツメディア『アスロン・スポーツ』が3月25日に掲載した、パイレーツの打順予想によれば、筒香は「2番・指名打者」となりそうだ。新労使協定に盛り込まれていた内容の一つであるが、パイレーツが所属するナ・リーグは今季から指名打者制が導入される。指名打者制がなかった昨季は、筒香はパイレーツで一塁や右翼などを守っていたが、今年からは指名打者での出場が多くなりそうだ。もちろん、筒香は守備でもユーティリティープレーヤーとして評価されている。昨季終盤から自慢の打撃力を復活させ、オープン戦でも順調な仕上がりをみせている筒香には例年以上に期待できそうだ。(在米ジャーナリスト・澤良憲/YOSHINORI SAWA)