受け子で逮捕されるのは10~20代の若者が多い。だが、例えば2018年に神奈川県警が行った、主に受け子で逮捕された若者ら96人に対する聞き取りでは、ほぼ半数が報酬をまったくもらえていなかった。受け取った者も10万円未満が半数。ハイリスク・ローリターンどころか、ゼロリターンの実態が明らかになった。若者にとっては「割りのいいバイト」ですらないのだ。
出口教授は、犯罪グループが受け子などの末端協力者について、リクルートの方向性を変えていく可能性を指摘する。
「警察当局の啓発活動もあり、受け子らは逮捕リスクが高いことが周知されています。犯罪グループからすれば、若者が中心だった使い捨ての汚れ役が不足している状況です。今回の主婦のように『普通の成人』に狙いを定める流れが、今後ますます加速していくでしょう。どんな手で勧誘するか、犯罪グループは次の手を常に考えているのです」
いくら自分の気持ちを「合理化」しようとも、いずれは事の重大さと失うものの大きさに後悔することを忘れてはならない。(AERA dot.編集部・國府田英之)