
AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:8年前に紹介され、好意を持ってくれた男性のことが忘れられません。今になってその方の良さがわかり、大切な人だと気付きました。思いを伝えようと、メールを送信するもアドレスが変わって連絡を取ることができず。思いを吹っ切るために、今は住んでいるのかもわからないのに、長年暮らしていた街を訪れました。思いは膨れるばかり、どうしたらよいのかわかりません。(女性/グラフィックデザイナー/39歳/てんびん座)
A:ご相談をいただいて、こういう思いを持っている人がもしかしたら実はいますごく多いんじゃないかと思いました。
人って、未来に向ける目と過去に向ける目がちょうどよくバランスが取れている時が調子がいい時だと思うんです。でもコロナ禍を経て、どの人もいま過去に目が向いています。寂しさがあるというか、この数年間、未来に何をしたいか決めにくかったですよね。今まであった生活を急に中断させられ、もっと言うと終止符を打たされた人たちもとっても多かったと思います。
切り替えの仕方をどうすればいいかわからないまま、さまよってしまう。失恋直後と似た感じと言ってもいいような気がします。さよならも済んでいない人たちがいて、再会したい人にもなかなか会えない。そんな中でもここから新しい人と出会っていかなければいけない。この方個人だけの話ではなく、すごく切ないなぁと思ってしまいました。
そして、誰かを好きになるとか誰かに好きになってもらう、恋愛というのはやっぱり他にはない関係性です。秘密結社のようなもので、他の人には見せない表情を相手に見せようとして自分を壊す努力をしたり、「この人たぶん外ではこういう表情をしてないはずだよな」という相手の表情を見て、特別な信頼を感じたりする。すごく嬉しいものですよね。