逮捕された京大生の自宅では、つり下げ式の植木鉢の底部に小型カメラが仕掛けられていた
逮捕された京大生の自宅では、つり下げ式の植木鉢の底部に小型カメラが仕掛けられていた

 京大生の男はツイッターで盗撮動画を投稿して自ら尻尾を出したが、それがなければ被害者は増え続け、悪行は永遠に闇の中だったかもしれない。

 2021年の盗撮の検挙件数は5019件で、過去最多になったと報じられた。スマートフォンの普及により増加したと考えられるが、京大生のような隠しカメラでの犯行もまだ目立つ。

 盗撮目的で作られたとしか思えない商品も出回っている。

 2014年夏、京都府警が、カメラを仕込んだ靴を販売したネット通販会社の社長らを、盗撮を手助けした疑いで逮捕。その後、同社から1800人分の購入者名簿を押収し、京都府内の20人から靴の任意提出を受けた。盗撮にしか使われないと判断し、被害を未然に防ぐため異例とも言える強い手段に出た形だ。

 当局の姿勢が警告になったかと思いきや、現在もペン型、消しゴム型、USB型、置き時計型……ネットでも店舗でも、一般生活には到底必要なさそうなカメラが公然と販売されている。販売店側は「防犯目的」を掲げていたり、「盗撮に使われる商品は扱っていない」「盗撮目的の購入はお断り」などと明示している場合もあるが、購入者がどう使うかはわからない。カメラに詳しい専門家からは、野放し状態を危惧し、販売規制をかけるべきだとの声もでている。

 盗聴調査を数多く行う酒井氏は、盗聴行為そのものを処罰できる法整備を訴え、14年ほど前に国会議員らと勉強会を開いたこともあった。ただ、議員の腰は重く法整備に向けた動きにはつながらなかった。被害だけが増え続けているのが現状だという。

「盗聴や盗撮被害者の方々が、どれだけ悲惨な精神状態に追い込まれているか。盗聴については法整備が必要です。盗撮は都道府県の条例などはありますが、さらに重罰化する必要があると考えます。京大生のように、万が一ネットに動画をさらされたら簡単には消せません。痛ましい悲劇が起きてからの法整備では遅すぎます」

 2015年の犯罪白書によると、盗撮の再犯率は36・4パーセントと高い。“盗撮天国”のような今の状況下で、後手後手の対策で良いのだろうか。(AERAdot.編集部・國府田英之)

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