自宅に遊びに来た女子大生らを盗撮したとして、京都大学3年の男(22)が逮捕された。男は歯磨き粉のチューブや植木鉢に隠しカメラを仕込み、トイレや洗面所に設置していた。さらに動画をSNSに投稿していたという。盗聴・盗撮の調査を行う専門家は「どこにでも仕込める極小サイズのカメラを誰でも購入でき、隠しカメラを作れる時代。この事件も氷山の一角にすぎない」と警鐘を鳴らす。
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「あなたを盗撮しています」
盗聴・盗撮の専門調査会社「ティー・アール・エス」代表の酒井賢一氏によると、2年ほど前、関東地方に住む20代女性の家に突然、そう書かれた手紙が届いた。
女性は被害にあっている自覚はなかったが、調査依頼を受けた酒井氏が女性の住む集合住宅の部屋をくまなく調べると、エアコンの吹き出し口に小さなカメラが仕掛けられ、盗撮が事実だと分かった。
盗撮カメラは、ある特殊な方法でエアコンから電力が得られるように設置されていたという。
電力があれば、カメラは作動し続ける。加害者は離れた場所で、無線で送られてくる盗撮動画を見ていたのだろう。
エアコンが狙われるのには理由があるという。
「部屋が見渡せる位置に設置されているので盗撮がしやすいからです」(酒井氏)
さらに、こうした加害者は手紙などの手段で、犯行を被害者に突きつける傾向がある。
「理解しがたいですが、自分の犯行が被害者に気づかれていないのはさみしい、という心理があるのだと思います」(酒井氏)
酒井氏が担当した調査では、部屋のエアコン、照明やコンセント、換気扇、脱衣場のブレーカーが隠しカメラの設置場所として狙われたケースが多かった。ある会社のオフィスを調査したところ、女子トイレの便座に仕掛けられていたこともあった。
今回の事件、逮捕された京大生の男は、歯磨きチューブに穴をあけたり、植木鉢の底に細工をしてカメラを仕込んでいた。酒井氏はこう指摘する。
「今や全体の大きさが1センチほどの極小サイズのカメラがネットなどで市販されており、誰でも手に入る。隠しカメラとして仕込もうと思えば、京大生のように何にでも仕込めます。この事件も氷山の一角にすぎないでしょう。特に京大生のように犯行現場が自宅の場合、調べようがないですから発覚すらしません」