講談社の漫画誌「モーニング」元編集次長(現在は退職)で、『GTO』など人気漫画を担当してきた朴鐘顕(パク・チョンヒョン)氏(46)は、妻(当時38歳)を殺害した容疑で東京拘置所に収容されている。本誌は昨年9月、無実を訴える支援者や弁護士の声を報じた。今回、ようやく朴被告本人が事件の経緯や今の心境を明かした。
【写真】「わすれてしまいそうです」拘置所の朴被告に送られた娘からの手紙
事件は2016年8月9日未明に起きた。朴被告によると、仕事を終え帰宅すると、当時産後うつを患っていた妻、佳菜子さんが錯乱状態に陥っていた。包丁を手に子どもに危害を加えようとしたため、制止しようとした朴被告と1階の寝室でもみあいになった。
朴被告はその後、子どもを抱いて2階の子ども部屋に避難。数十分後に部屋を出ると、佳菜子さんは階段の手すりに巻きつけたジャケットを使い自殺していたという。
一方、検察は「被告は寝室で妻ともみあいになった末に首を絞めて殺害した」と主張。双方決定的な証拠が認められないまま、一審、二審とも朴被告に対し懲役11年の実刑判決が下った(朴被告は最高裁に上告中)。
本誌は昨年9月24日号で、判決に問題があるとして無罪を訴える支援者らの声を伝えた(文末に概要を記載)。
事件はなぜ起きたのか。本誌の度々の取材に対し、朴被告は書簡で次のように言葉を綴った。
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――弁護側は、佳菜子さんが自殺に至った背景として「以前から産後うつと診断される程度の精神状態だった」と主張しています。
妻はこのことを伏せていて、私は裁判で初めて知りました。あの夏、妻から毎週のように「やることがいっぱいあるけど、どれをすればいいかわからない」と電話が来ました。宿題のプリントを投げつけるなど、子どもに当たってしまう日もありました。そんな夜、妻は眠れずに泣き続けるので、私は「明日ぎゅっと抱っこしてあげよ。そしたら全部大丈夫」と背中をさすりました。
そのうちに妻は「幼稚園の送り迎えのとき、通園路沿いの家の人が私たちを観察している」と言うようになりました。「カウンセリングに行ってみない?」と持ちかけたのですが、「私は病気じゃない!」と怒鳴られ、引き下がってしまいました。