もともと「打てなくなったらまた戻すかもしれません」と話していたように、バスター打法はいわば古賀にとって打撃の原点。一軍の打席でもこれまで時おり試みていて、今回もそうした“原点回帰”の意図があったのだろう。

 ただし、10日の試合では巨人・赤星優志のツーシームをとらえて三遊間を破るヒットを放ったものの、その後の5試合でわずか1安打。中村は今日、4月22日のイースタン・リーグDeNA戦(戸田)で実戦に復帰していて、古賀が今後もコンスタントに試合に出続けられるかどうかは、そのバットにかかってきそうだ。

 一方、2年ぶりに戻った一軍の舞台で、バットでも印象を残しているのが大学、社会人を経て入団5年目の松本直樹(28歳)である。今季2度目のスタメンマスクとなった4月6日の中日戦(神宮)で先制2ランを放つと、翌7日の同カードでも5回に2ラン。立教大時代は六大学リーグで通算20打数ノーヒットと、神宮の公式戦で1本もヒットを打つことができず、プロでも昨年まで通算本塁打1本の8番バッターの連日のアーチは、周囲をアッと言わせた。

 昨年はプロ4年目で初めて一軍出場ゼロに終わった松本だが、ファームの大松尚逸(現一軍打撃コーチ)、畠山和洋両打撃コーチの指導の下、ひそかに“打撃開眼”していた。規定打席には届かなかったものの、60試合の出場で打率.322、4本塁打。「強く振るっていうのはファームにいた時に口酸っぱく言われてたので、今日はその成果が出てよかったなと思います」と話したのは、一軍では927日ぶりにホームランを打った試合の後だった。

 打つだけではない。3月27日の開幕第3戦(阪神戦、京セラドーム)で高梨裕稔とバッテリーを組んでチームに勝利をもたらすと、前述の4月6日の中日戦では自らのアーチで奪ったリードを、高梨ら5人のピッチャーとともに守った。

「各投手の良いところを引き出したリードができたんじゃないかなと思います。すごく頭のいい子なんでね、いろいろ勉強しながらここまで来てるのかなっていう感じはします」

 高津臣吾監督がそう語ったのは、その6日の試合後である。もっとも続く2度の先発マスクでは、チームはいずれも黒星。もちろんキャッチャーの力だけで勝てるものではないが、常日頃から「チームが勝つのが一番、達成感がある」と話す松本にとっては、悔いが残ることだろう。高梨と4度目のバッテリーとなる今日、22日の阪神戦(神宮)ではどうか──。

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