浅野:言葉が神戸と船場言葉とは違うので、そこは少し難儀しましたけどね。私が以前演じた「大奥」の瀧山も、徳川家のために生きてきた人物だし、「細雪」の鶴子さんも、老舗のおうちのために、という考え方があると思うんですよね。
林:「大奥」の瀧山も当たり役でした。浅野さんは一人っ子なんですよね。お母さまはまだご健在なんですか。
浅野:はい、おかげさまで。今年の10月に90歳になります。コロナ禍で、外に出ることがままならなかったのもあって、健康面で少し心配してはいますが、基本的にはたくさん食べるので安心しています。
林:一緒に暮らしてらっしゃるんですか?
浅野:いえ、神戸におりますので、別ですね。
林:お母さまもお喜びでしょう。一人っ子のゆう子さんがご結婚なさって。ふだんご自分でお料理もおつくりになる?
浅野:私ですか? やってます。でも、簡単なものしかしません。
林:ご主人がおうちに帰ってくると、お二人でワインを抜いてゆっくりおしゃべりしながら……。
浅野:私、お酒いただけないんですよ、体質的に。
林:あ、そうでした。トレンディードラマを見てた人は、ワインなんかすごく好きそうなイメージがありますけど、お酒は飲まれないんですよね。
浅野:夕飯は7時まで待ちますけど、7時過ぎたら一人で先に食べます。そして先にお風呂入って寝ちゃいます。
林:なんかストイックな生活をしてらっしゃるんですね。
浅野:出無精です、わりと。
林:それもびっくり。浅野ゆう子さんって、青山とか表参道に行ってトレンディーなものをキャッチしてお買い物したり、はやりのバーに寄ったり、そういうイメージがありますけど。
浅野:40代に入ってからは物欲もあんまりありませんし、地味に普通に生きてます。
林:私、浅野ゆう子さんと初めて会ったのが、バブル真っ最中の豪華客船の中でした。船上パーティーに招待されて。
浅野:そうでしたね。シンガポールからご一緒させていただきました。すごく楽しい旅でした。豪華で。