他に繰り出されるのが、ダジャレ攻撃。娘は英語でも「I ate ice cream and I scream!」なんて言葉遊びはするんですが、やはり日本語のほうが断然扱いやすいようで「いるかはいるか?」とか「ねこがねころんだ」など、日々たわいもないダジャレをつぶやいています。毎日続けるうちにダジャレもレベルアップしてきて、

「こんなダジャレはどう? ……『鯛』が『たい』焼き食べ『たい』って!」

 最近ではこんなふうに、単語をダブルではなくトリプルで重ねるようになってきました。わたしもつい感心して、「いいダジャレじゃん!」と日本語で合いの手を入れてしまいます。

 姉がほめられる様子を見て、3歳息子もダジャレ攻撃に参加するようになりました。

「ねえねえ、こんなダジャレはどう? ……オニギリ!」

 全然ダジャレじゃないんですが、3歳児の闘志とかわいさを称えて、つい「いいダジャレじゃん!」と合いの手を入れてしまう母。やっぱり、まんまと日本語をしゃべっています。

 さらに母を追い詰めるのが、大人な話題攻撃。ある日の食卓で、娘がこう切り出してきました。

「やじりってさあ」

 や、やじり?!!

「やじりってさあ、ほら、弓と矢ってあるけど、その矢の先っぽにつけるんだよねえ。あれでマンモスとかつかまえるの、便利だよねえ」

「そ、そうだね……」

 ドラえもんの学習漫画シリーズで仕入れた知識を披露しているのだと思いますが、まるで新作キッチングッズのレビューをするかのように訳知り顔で「便利だよねえ」と語る娘がほほえましく、つい日本語で相槌を打ってしまうのでした。

 おそらく娘は鏃について語りたいわけではなく、母親と日本語で話したいだけなのです。自分の語彙の中でもとびきり大人っぽい単語、母親が喜んで食いついてくるだろうと思われる単語を選び、それについて話を広げようとしている。その健気さ、創意工夫、あっぱれ! 

 と思ってまんまと日本語をしゃべらされ、今日も英語の会話が全然増えないわが家なのでした。

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