森:曲にしていただけるということにテンションも高まったし、ikuraさんの声がエネルギーを与えてくれた。責任感や緊張感もあったので、それが良い意味で集中力につながったんだと思います。
——これから、「ヒカリノタネ」を元にしたYOASOBIの楽曲が発表される。
Ayase:恋愛のみでなく、タイムトラベルものでもあるので、空間の概念を入れていきたいと思っています。
作者の次の理解者
森:デモ音源を聴いて、私はすごく好きになりました。メロディーがとてもきれいで、片思いの切なさと人を好きになるという輝きの両方を感じました。
Ayase:ありがとうございます。名だたる作家さんが“はじめて”に挑んでくださったプロジェクトなので、僕としてもはじめてのチャレンジを楽曲に含めたいと思っていて。それに加えて、YOASOBIの原点である“小説を音楽にする”という核の部分を広く伝えられる曲にできたらなと。これからさらに「ヒカリノタネ」を隅々まで読んで、曲作りを頑張ります。
森:島本さんとの対談で、曲にする際に100回は小説を読むとおっしゃっていたので、すごいなと思いました。
Ayase:そこまで読まないと道が拓けないんです。例えば、元の小説を全部バラバラにして再構築するやり方もあるし、自分で書き直すみたいなやり方もある。どんなやり方でも、結局は向き合った時間の長さだと思うので。作者の次に自分がその小説の理解者である必要があると思っているので、何度も何度も読み込みます。
森:今回に限らず、おふたりの影響で小説に興味を持ってくれた人がたくさんいると思うので、本当に感謝しています。
(構成/ライター・小松香里)
※AERA 2022年5月2日号-9日合併号より抜粋