「コロナはもう落ち着いた。重症化して死んじゃうのは、ワクチンを接種していない人の自己責任。みんな、もう普通に生活しているよ」そう話すアメリカのカリフォルニア州在住の友人に、ビジネスや留学以外では日本に入国できない現状をどう思うか聞いたところ、「日本には来るなって言われる気がして残念。でも、規制が解除された国はたくさんあって、日本以外にも行ってみたい国はたくさんあるから、別に日本に行く必要もないね」というのが彼の答えでした。

 昨年の夏、サイエンス誌で「パーティションはコロナの伝播を増加させることが示されている」とあるにもかかわらず、政府がパーテーションの使用を推奨していることや、国内ですでに感染が広がっているのに厳しい水際対策を継続し、気の緩みにより感染リスクが高まるというなど、科学的・合理的とは到底思えない対策を続けていては、「日本に行く必要はない」と言われてしまっても仕方ないのかもしれません。

 最後になりましたが、私も出国前のコロナ検査が陰性であれば、大型連休を利用して、2年ぶりに日本を離れる予定です。今までなら、パスポートさえ忘れなければなんとかなったものの、渡航先の入国条件を調べ、条件を満たすように書類を準備しなければ‘出国できません。帰国時も、日本の厳しい入国条件を満たさないと日本に戻ってくることができないことを考えると、楽しみよりも不安の方が何倍も優る海外旅行は初めてです。次回は、入国から出国までの私自身の体験記を共有したいと思います。

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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