続いてサイドバック。左には、吉田豊(名古屋)を指名したい。休むことなく上下動を繰り返し、攻守において粘り強いプレーが身上。決して華麗ではないが、対人能力が高く、攻撃参加も的確。プレーの安定感は特筆すべきもので、32歳となった今季もJリーグ屈指のサイドバックであることは間違いない。これまで長友佑都、中山雄太の2人以外に安西幸輝、小川諒也、杉岡大暉、山中亮輔らが森保ジャパンに招集されたが、吉田がサイドバックとしての総合力において彼らに引けを取っているとは思えない。
右サイドバックには、小池龍太(横浜FM)がいる。JFAアカデミー福島から当時JFLだった山口へ入団し、J3、J2とチームとともにステップアップ。J1・柏でも実力を証明し、ベルギーリーグを経て2020年から横浜FMでプレー。昨季はリーグ戦31試合出場4得点と働いた。基本技術のレベルとサッカーIQが非常に高く、サイドを駆け上がるだけでなく内側にポジションを取りながら多彩な役割をこなすことができる。現在26歳。A代表も世代別代表の経験もないが、国際舞台でも活躍できる力はすでに備えているはずだ。
ボランチの2人で、まずは橘田健人(川崎)を選ぶ。桐蔭横浜大から2021年に“王者”川崎に加入すると、大卒1年目から周囲の期待を上回る働きを披露。頭脳的かつハードなプレーで、外国人のシミッチからアンカーのポジションを奪い取り、Jリーグ優秀選手賞も受賞した。決して肉体的に恵まれているわけではないが、無尽蔵のスタミナと鋭い読みから激しくボールを奪い、前線へ入れるパスのタイミング、精度も優れている。まだ23歳。今後の成長が楽しみだが、今すぐにでも“未招集ベスト11”に入れる力がある。
もう一人は、樋口雄太(鹿島)。鳥栖の下部組織育ち。鹿屋体育大を経て2019年に鳥栖に“再”入団すると、2021年には背番号10を背負ってリーグ戦37試合に出場して6ゴール6アシストの活躍を見せた。巧みなボールタッチからのドリブル、パスともにセンス抜群で、今季から加入した鹿島でも開幕からレギュラーを掴み、中盤を幅広く動き回りながらチャンスを演出。特に右足のキック精度は特筆すべきもので、エリア外からのミドルシュートに加えて、セットプレーのキッカーとしても威力を発揮する。代表歴は2013年にU-17代表に選ばれたのみだが、25歳となったプレーメーカーの実力に疑いの余地なし。その名は今後、さらに広く知られることになるはずだ。