長引くコロナ禍、働き方や人生そのものの価値観が大きく変化する中で、人々の仕事観はどのように変化しているのだろうか。そんな世の中の流れが変化する中、ここ最近、転職に踏み切った30代、40代の個人のストーリーを追うと、新たな動きが見えてきた。
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これからの「働く」をAERAdot.と一緒に考える短期集中連載「30代、40代の#転職活動」。第1回は、全く経験のない異業種や異職種へ飛び込む「越境転職」について。その前編では、転職当時43歳でアパレル店舗の店長からIT業界への道に進んだ実例を紹介する。
【後編はこちら】コロナ禍の転職「50代未経験も珍しくない」異業種・異職種は過去最高 成功するコツは?
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「40歳を超えて、業種も職種も未経験の仕事に転職するのは難しいと思っていました」
東京都在住の会社員、Aさん(45)。2年前にアパレル製造・小売業の大手企業から、IT企業に転職した。前職では、ショッピングモールに出店している大型アパレル店舗の店長を8年間務め、前々職は外食チェーン企業の店長。店舗スタッフを束ね、売上目標を目指して店舗運営を担う店長職を歴任してきたが、現在IT企業で取り組んでいる仕事は人事だ。
転職当時、43歳。アパレル店舗の店長を務めながら、転職について真剣に考えるようになったのが40歳を過ぎた頃だった。毎月、本部から厳しい売上目標が出され、回転サイクルの早い商品がどんどん入荷してくる。店舗の従業員は、社員とアルバイトを含めて約30人。店舗面積も広く、従業員は常に足りない状態だった。
足りない人員を補うため、常に業務の効率化を考え、繁忙期には自分の休日も返上して働く。そうやってぎりぎりまで頑張っても、目標に届かないと本部やエリアマネージャーから厳しく叱責される。店頭に並べたばかりなのに、すぐに値引きされ、数週間もすればワゴンで叩き売りされる商品のループ。立ち仕事の疲れも溜まり、休日は寝て過ごすことが多かった。