ところで近年、交通事故を防ぐ“新兵器”が注目されている。3月に信号無視の車にはねられ小学生の女児2人が死傷した名古屋市は、通学路などの交差点について信号のない円形の交差点「ラウンドアバウト」への転換を検討するという。欧州を中心に導入が進められてきた「ラウンドアバウト」は近年、日本でも注目され、14年9月の道路交通法改正で本格的な整備が始まった。全国で約130カ所設置され、今後さらに導入が進むという。その効果を名古屋大学の中村英樹教授(交通工学)がこう語る。
「ラウンドアバウトは物理的な構造上、車両の速度を抑制することができる。日本でもラウンドアバウトを設置した交差点では大幅に事故が減りました。ただし、日本では自転車の走行ルールの理解が曖昧で、環状道路の進行方向を無視して逆走してしまうようなケースがあると危険です。ラウンドアバウトでも交通ルールとマナーの順守が大切です」
せっかくのチャンスをピンチに変えてしまわぬよう、ご注意を。(本誌・佐賀旭)
※週刊朝日 2022年5月20日号