交通マナーの悪さが度々問題視される宅配代行サービスでは死亡事故も発生している。昨年4月17日には、自転車で走行中の「ウーバーイーツ」配達員が横断歩道を渡っていた男性(78)をはねて死亡させた。自転車事故では異例の業務上過失致死罪で在宅起訴された配達員の男(29)に対し、東京地裁は2月18日に禁錮1年6カ月執行猶予3年の判決を言い渡した。事故当時は雨が降っており、悪天候時に追加報酬が支払われる「クエスト」の最中で速度を上げていたのが事故を起こした一因だという。

 運営会社である「ウーバーイーツジャパン」に事故後の対策を聞いた。

「ヘルメットの着用や、目につきやすい衣服の着用、道路交通法の遵守などの交通安全チェックリストをアプリに実装し、日々注意喚起を行っております。また、GPSデータの活用によって、自転車や徒歩など登録した移動手段に比して速すぎる移動を検知した際の警告や、違反行為を確認した際の稼働停止措置なども実施しております」(同社広報)

 新勢力の参入も脅威だ。4月19日に道路交通法の改正法が成立し、これまでは「原付きバイク」に分類され、車両として扱われてきた電動キックボードが新しい車種「特定小型原動機付自転車」となる。改正法の施行は2年以内。16歳未満は運転ができないままだが、これまで必要とされた運転免許が不要となり、ヘルメット着用は努力義務となる。最高時速20キロで車道走行が原則だが、6キロ以下なら自転車通行可の歩道も通行することができる。

 電動キックボードでの酒気帯び運転やひき逃げ事件もすでに発生しており、ルール違反や安全性が不安視されている。

「ほぼ自転車に近い扱いとなり、免許が不要でこれだけ手軽になるとルール違反による事故の増加が心配されます。20キロといえば、普通の自転車ならば全力疾走にも等しい速度。人にぶつかると子供や高齢者などは死亡事故になることも当然考えられます」(谷氏)

■「環状交差点」の使用法には注意

 自転車事故の被害者にも加害者にもならないために注意すべきポイントは何なのか。前出の今井氏はこう語る。

「注意してほしいことが3点あります。まずは歩道の通行。道路交通法上、自転車は車道を使うのが原則です。歩道では歩行者が絶対優先で、スピードを落として細心の注意を払う必要がある。歩行者が邪魔だからと自転車がベルを鳴らすなんて論外です。次に左側通行。自転車は左側通行が義務で、右側通行は非常に危険です。右側通行の状態で右折しようとすると、左側通行で左折しようとした自転車と簡単に衝突してしまう。事故って当たり前です。三つ目はライト。自転車の灯火は自分の存在アピールのために必要。黒い服を着て無灯火で右側通行する自転車は、正しく左側通行する自転車にとっては“テロリスト”に等しい危険な存在です」

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