自転車事故のイメージ(Getty Images)
自転車事故のイメージ(Getty Images)
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 コロナ禍で「ニューノーマル」な生活スタイルが広がる中、自転車が絡む交通事故の件数が増加するという、思わぬ「副作用」が現れている。新たな「交通戦争」時代に、被害者や加害者にならないために、知っておくべきこととは──。

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 自転車交通戦争時代の到来なのだろうか。

 ルール違反を伴う事故が増える中、悪質な自転車運転への締め付けが今春から全国で強化された。各都道府県警は自転車の危険な走行が問題になっている場所を「自転車指導啓発重点地区・路線」に選定し、ホームページで公表。毎月一斉の取り締まり日を設け、集中的な取り締まりに乗り出すという。

 警察庁によると、2021年の自転車が絡む交通事故の件数は約7万件で、前年から約2千件増えた。ここ10年以上減少傾向が続いていたことを考えると、異例のことだ。内訳を見ると、自転車運転者の交通違反がない事故が減少しているのに対し、違反ありの事故は増加しており、運転マナーの悪化が事故増加の一因となっているようだ。交通ジャーナリストの今井亮一氏はこう語る。

「コロナ禍で満員電車を避けて自転車通勤する人が増え、ウーバーイーツなど自転車の出前も増えた。それに伴い、無謀運転やマナーの悪さが問題になっています。自転車事故のほとんどは不起訴と思われるので、警察庁は『事故った者を野放しでいいのか』と考えているでしょう」

 今回の取り締まり強化では、悪質な違反には積極的に赤切符を出すという。自動車では違反が軽微な場合には反則告知書(青切符)が切られ、違反点数がつけられたり反則金を払ったりするものの、刑事上の責任を免れることはできる。自転車にはこの「青切符」がないため、悪質な違反にはいきなり「赤切符」が切られ、場合によっては罰金刑となり「前科」が付くケースもあるという。元千葉県警交通警察官で交通事故鑑定人の谷宗徳氏はこう話す。

「信号無視や歩道通行、歩行者の進路妨害など自動車では『青切符』になる違反が、自転車では『赤切符』になる可能性がある。『赤切符』を切られた全員が罰金刑になるわけではないですが、飲酒運転や何度も同じ違反を繰り返すなど相当悪質なケースは略式起訴の対象となり、前科が付く可能性があります」

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