西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、大リーグのオールスター戦で救援投手陣の質の高さに驚かされたという。
* * *
米国時間7月19日(日本時間20日)、MLB(大リーグ機構)のオールスターがドジャースタジアムで行われた。2年連続2回目の出場のエンゼルス・大谷翔平はア・リーグの「1番・DH」で先発出場。第1打席で、中前打を放った。
これだけの顔ぶれの中で「顔」として出場、存在感を示した大谷の素晴らしさを改めて感じるとともに、来年3月に行われる国別対抗戦・第5回WBCは、相当厳しい戦いになるなと感じた。
このオールスター戦を見ていて、救援投手陣の質の高さに驚かされた。160キロ近い球を持ちながら、「1、2の3」で投げる投手は少なかった。長い腕を駆使してゆったりと投げる投手もいれば、小さいテークバックで投げる投手、足を止めたり、リリースポイントを変え、変則気味に投げる投手と打ちづらさもあわせもった投手が続々と出ていた。
WBCは球数制限もあり、先発投手2人で七回くらいまで投げ、その後は救援投手が細かくつなぐ形がオーソドックスだろう。そうなると、長いイニングを投げる先発投手でも多くて2度の対戦しかない。ほぼ初見の投手をどう打ち崩すか。ただでさえ攻略は難しいのに、160キロで球は動き、さらに独特の間合いを持つメジャーの投手に「慣れる」という作業は試合の中で作れそうにない。
2017年の前回大会の準決勝でも米国と対戦し、日本は動く球に苦戦して敗れた。小久保裕紀監督も「どう攻略すればいいか……」と話していたが、日本の投手よりも球が速く、動く球への対策を立てるのは難しい。さらに、球界全体のレベルを見ると、日本も急速にパワー化が進んでいるが、メジャーのほうが進化のスピードは上回っているように感じる。
WBCの米国代表は、エンゼルスのマイク・トラウトが主将を務めるとの報道を目にした。彼が出るということは、ベストメンバーに近い選手が集まる可能性があるということだ。