メディアもかつて、子どもへの性暴力を「いたずら」と表記していた時代があり、中には痴漢などの性犯罪を助長する特集を組むところもあった。今年に入ってからも、新聞社が性的に描いた女子高校生のイラストを使った全面広告を掲載し、国連女性機関(UNウィメン)から「あたかも男性が未成年の女性を性的に搾取することを奨励するかのような危険もはらむ」(日本事務所所長)と問題視される出来事が起きた。教育と同様に、メディアが性差別的な社会を再生産してきた面は否めない。

 一部の保守系政治家も学校での性教育の実践を問題視し、子どもたちが身を守る知識を身につける機会を奪ってきた。

 教育現場の体質を改めると共に、性暴力・性差別を支えてきたメディアや政治などの長年のあり方を見直し、子どもや性犯罪被害者の訴えを受け止め、被害者が声を上げやすい社会をつくっていくことが必須だ。(朝日新聞記者・南彰)

AERA 2022年5月16日号より抜粋

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