ただし、ひびだけの場合、歯科医院で発見するのは困難です。
歯が欠けてくると見つけやすいですが、むし歯で欠けている場合はやわらかくなっているので探針(先端が鋭くとがった棒状の検査用器具)で押すと診断がつきやすいのに対して、健康な歯は歯のエナメル質が硬く、つるつるしています。
このため、風(エアー)を歯にあてて、「しみるところはありませんか?」と聞きながら、確認をしていくのが効率的です。
このとき、患者さんに「大丈夫です(しみません)」と言われると、そのまま、「問題なし」となってしまうことがあるので注意が必要です(気になる場合は、遠慮なく伝えましょう)。
なお、しみるという訴えがあったら、視診でむし歯がなくても、念のために歯のX線写真を撮ります。これは歯と歯の間の見えない部分にむし歯があることを疑っておこなう検査です。
歯がしみる症状に対してはいくつか治療法があります。
最も簡便なのは、しみている部位にコーティング剤を塗ったり、プラスチックのコンポジットレジンを貼り付けて、象牙細管の入り口をふさぐ方法です。ただし、長く使うとはげてくるので、再治療が必要になります。
くいしばりや歯ぎしりが原因の場合は、できるだけこの習慣を減らすようにしてもらいます。日中のくいしばりは、パソコンなど仕事に集中しているときに起こりやすいので、このことを意識し、気づいたら歯と歯を接触させないように努めます。
歯ぎしりの場合は睡眠時に使うマウスピース(歯ぎしり用)をすすめることもあります。
また、くいしばりや歯ぎしりの悪化要因としては、ストレスがあります。
歯がしみるという患者さんは、「最近は、まったくしみない」や、逆に、「急にしみるようになった」など、日によって症状が出たり出なかったりしますが、悪化したときの話を聞くと、「心配事が続いた」「忙しかった」などの声が多いのです。
そこで患者さんには、趣味を楽しんだり、適度な運動をしたりと、できるだけストレス解消を心がけてもらっています。