ハーバード大学に出願する際は、ラテン語由来の難しい単語や法律用語を覚える必要があり、2 万語近い単語を暗記しなければならず、かなり大変でした。入学後も初めは講義のスピードや独特の言い回しに慣れず戸惑いましたが、ハーバード大学は海外の学生のケアが充実していて、先生が授業で当てるタイミングを事前に教えてくれたり、ディスカッションに割り込むタイミングを知らせてくれたりするんです。1年経つころには、問題なく授業についていけるようになりました。
大学に入学して間もない頃、アメリカ人の同級生から「すみれはずっと笑っているけど、大丈夫?」と聞かれたことがあります。すぐに英語が出てこず、どんな話にも愛想笑いをしていた私は、彼女にとって理解不能な人だったのでしょう。アメリカでは、相手の話が面白ければ「それ、めっちゃおかしい!」と伝える、わからないことはわからないと言う。変なごまかしは不要だと、そのとき気づきました。単語やスラングを覚えることにも意味はありますが、英語でのコミュニケーション力を磨くためには、英語圏の文化や考え方など、「非言語の部分」を学ぶことも重要だと思っています。
【廣津留すみれさんのおすすめ英語学習教材・ツール】
◇スマホが相手でも会話練習ができる
Google Assistantのヘビーユーザーという廣津留さん。AIがレストランの電話予約を代行するGoogle Duplex(日本未提供)では、相手の言葉にあいづちを打つなど、AIとは思えないほど自然な会話が成立するそうだ。
◇オンライン動画は英語教材の宝庫
「The Late Show with Stephen Colbert」は、MCのスティーブン・コルベアが社会問題を皮肉るモノローグのコーナーに注目。「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」は、「面白くて、つい見ちゃう」と廣津留さん。
廣津留すみれ(ひろつる・すみれ)
バイオリニスト。英語教室を営む母のもと、幼少期から英語に親しむ。大分の県立高校からハーバード大学に進学。卒業後、ジュリアード音楽院へ。CD「メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」が発売中。
(文/木下昌子)
※『AERA English2022』から抜粋