寄付者や関係者の集まるイベントで演奏する廣津留さん。場所は「Harvard Art Museums」 というハーバードの美術館(廣津留さん提供)
寄付者や関係者の集まるイベントで演奏する廣津留さん。場所は「Harvard Art Museums」 というハーバードの美術館(廣津留さん提供)

 「それ以外にも、大学に交渉して学ぶためのお金を得られる機会がありました。例えば卒業論文のリサーチやインターンシップのために海外に行く必要があれば、大学に補助金を申請し、航空券や宿泊費などの費用を全額出してもらうこともできます。もちろんその際には細かい研究内容など説得力のあるプレゼンをしなくてはいけませんが。

 そうした環境もあって、私もハーバードに入学してからはどんどん自分の意見を言うようになり、プレゼン力が鍛えられましたし、交渉や議論でも簡単には折れないようになりました。交渉を重視するのは、アメリカに共通する考え方かもしれません。卒業後に進学したジュリアードでも、仕事をするときの契約について弁護士によるワークショップがありました。どれだけ素晴らしい演奏ができても、契約書の確認を怠ってしまうと、プロの音楽家として続けていくのは難しいからでしょう。契約内容に不満がある時は我慢して黙認するのではなく、自分の主張をはっきり告げることを学びました」

■寄付者と奨学生が直接会うパーティーがある

 出自にかかわらず広く門戸を開き、充実した学習環境の中で学生たちがフルに活動しているハーバード。その潤沢な予算の一端を担っているのが、卒業生などによる寄付。寄付者との交流は、社交を学ぶ機会にもなっているという。

 「寄付をしてくださっている人と奨学生が集まるパーティーが学校主催で開催され、そこで自分の奨学金の寄付者に会うことができます。学生から『私はあなたの奨学金のおかげで学べています』と挨拶されれば、寄付者は嬉しいですし、学生にとっても直接、感謝の気持ちを伝えられる場があることで、より学習に精が出ます。また、こうした学校外の人との交流の場は、将来参加する可能性のあるチャリティーやガライベントでも使える、社交の基本的なマナーを身につける機会でもありました。会話の輪に自然と入るタイミング、短い時間でも相手に印象付ける会話、落ち着きのある話し方、敬語の使い方など。私もここで覚えたことがのちのち、仕事の場などですごく役立ちました」

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