2019年のドラフトで入団した選手がブレークしている。いわゆる「佐々木朗希世代」はほかに、奥川恭伸(ヤクルト)、宮城大弥(オリックス)、紅林弘太郎(オリックス)、石川昂弥(中日)、西純矢(阪神)、及川雅貴(阪神)、堀田賢慎(巨人)と多士済々である。過去57年間のドラフトで、大活躍した選手が集中した各世代を振り返ってみる。
「大活躍選手」の定義は打者「1800試合」「1500安打」「200本塁打」「タイトル4個」、投手「500登板」「100勝」「120セーブ」「タイトル4個」とした(注/例えば同じシーズンに首位打者とベストナイン受賞は一つと数えた)。
【1968年ドラフト組】(入団当時の球団名。現役選手は現在の所属球団名)
大橋穣(東映)、山本浩二(広島)、田淵幸一(阪神)、有藤通世(東京)、大島康徳(中日)、島谷金二(中日)、加藤秀司(阪急)、福本豊(阪急)、金田留広(東映)、野村収(大洋)、星野仙一(中日)、水谷則博(中日)、山田久志(阪急)、東尾修(西鉄)
山本、田淵、富田勝は「法政三羽ガラス」と呼ばれた。しかし「いの一番」指名は大橋だった。大橋は当時の東都大学リーグ記録の20本塁打。だが、プロでは「守備の人」で阪急に移籍した72年から7年連続ダイヤモンドグラブ賞(現在のゴールデングラブ賞)を受賞。阪急は山田、加藤、福本の社会人野球経由3人が「名球会入り」(投手で通算200勝以上か250セーブ以上、打者で通算2000安打以上)を果たしている。「名球会入り」は、それ以外にも東尾、有藤ら4人いて、計7人。田淵ら監督経験者計7人と、そうそうたる顔ぶれだ。
【89年ドラフト組/野茂世代】
小宮山悟(ロッテ)、佐々木主浩(大洋)、橋本武広(ダイエー)、潮崎哲也(西武)、佐々岡真司(広島)、野茂英雄(近鉄)、新庄剛志(阪神)、古田敦也(ヤクルト)、前田智徳(広島)
当時のドラフト史上最多となる8球団が野茂を1位指名した。野茂以外を指名して、そのまま交渉権獲得となったのは潮崎、与田剛(中日)、佐々岡、大森剛(巨人)の4球団である。88年のソウル五輪は、アマチュア選手しか出場できず、五輪に出場するためにプロ入りを延ばしていた社会人野球選手も多かった。五輪出場投手は野茂のほか潮崎、渡辺智男(西武)らであり、佐々岡、与田、西村龍次(ヤクルト)さえもメンバーから外れる高いレベルであった。大学4年生も佐々木、小宮山、葛西稔(阪神)、酒井光次郎(日本ハム)ら好投手が目白押しだった。高校出ではドラフト4位で前田、5位で新庄が指名されて入団。好成績を残している。