だが実態は、銭湯でも過去のトラブルを理由として入浴禁止とする施設があり、スーパー銭湯や日帰り温泉は禁止している施設が多い。タトゥーのある人が多い訪日客の増加や、日本の若者でもファッション感覚でタトゥーを彫る人が増える中、受け入れの是非はたびたび議論になってきた。

 古戦場のようなタトゥー容認施設は今のところ少数派だが、浅野社長は「OKですよ、とはっきりさせた方が、お客様側も当施設に来るか来ないかの判断がしやすいと考えました」と意図を説明する。

 古戦場では、「(サウナ後の)外気浴の場所での喫煙」「サウナの場所取り」などを禁じており、注意しても守らない場合は出入り禁止とするケースもある。

「これまで発生した(上記の)マナー違反やケンカなどのトラブルは、入れ墨のないお客さまによるものでした。一方、入れ墨があるお客さまはどちらかというと遠慮がちに、静かに過ごされている方ばかりでした。こうした実態を考えた結果、皆さまが安らぐ場所として入浴マナーを守ってくだされば、入れ墨の有無に関係なく、どなたでもいらしてくださいというルールにしました」(浅野社長)

 公表後、特に問題は起きておらず客入りにも影響はないという。なぜ入れ墨のある客がいるのかとクレームが入ることもまれにあるが、その際は施設の考えを説明するようにしている。

「入浴禁止の施設が大半ですからね。こんなふうにタトゥーを入れているんですと丁寧に説明してくださって、本当に入浴させてもらえるのかと問い合わせしてくるお客さまもたくさんいます」(浅野社長)

 そもそも、日本人の入れ墨文化はどのように発展してきたのか。昔から、“その筋”の人たちだけに限られたものだったのか。

 入れ墨の文化に詳しく「イレズミと日本人」などの著書がある都留文科大学の山本芳美教授は、「入れ墨=暴力団組員というイメージが根付いたのは、1960年から70年ごろの『ヤクザ映画ブーム』の影響があると思います。実際には、さまざまな職種の人たちに根付いてきた歴史があります」と話す。

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「前科者」の印となった入れ墨