昨年夏の甲子園でも存在感を示した智弁和歌山の武元一輝
昨年夏の甲子園でも存在感を示した智弁和歌山の武元一輝
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 今年のドラフト戦線は投打の二刀流で注目を集める矢沢宏太(日本体育大)、東京六大学を代表する強打者である蛭間拓哉(早稲田大)と山田健太(立教大)など大学生が中心になると見られている。一方で高校生は3月に行われた選抜高校野球でも上位指名間違いなしという選手は不在というのがもっぱらの評判で、誰が目玉かが分かりづらい状況だ。しかし選抜の後に行われている各地の春季大会で評価を上げた選手は確実に存在している。

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 投手で1位指名に最も近い存在といえるのが田中晴也(日本文理)だろう。昨年夏の甲子園では最速147キロをマークして注目を集め、その後の秋季大会、そしてこの春の県大会と着実にステップアップを果たしている印象を受ける。2年夏まではスピードはあっても投球が単調で打ち込まれるシーンも目立ったが、この冬でフォームの安定感が明らかにアップし、ゆったりと力みなく速いボールを投げられるようになった。

 春の県大会でも準決勝で県内最大のライバルといえる新潟明訓を相手に10奪三振、2失点で完投。9回にもこの日最速となる148キロをマークし、スタミナ面の充実ぶりも見せた。決勝ではセンターとして出場しチームは逆転負けを喫して北信越大会出場は逃したものの、田中自身は2本のホームランを放つなど野手としても非凡なところを見せている。順調にいけば、新潟の高校から直接では初となる1位指名の可能性も十分にあるだろう(社会人経由では吉田篤史が日本文理からヤマハを経て1991年にロッテから1位指名)。

 田中と同じく投打にスケールの大きさを発揮してきているのが武元一輝(智弁和歌山)だ。昨年夏の甲子園は準々決勝の石見智翠館戦で1イニングを投げただけだったが、最速148キロをマーク。その後の秋、今年の春も背番号1は塩路柊季に譲っているものの、ポテンシャルの高さを評価する声は多い。5月15日に宮崎で行われた招待試合では宮崎商を相手にわずか99球で完封勝利をあげ、最速も148キロをマークしている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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