12年から5年間、築地の鮮魚店で魚の修業をし、20年には築地に鮮魚店「クリトモ商店」をオープン。毎週土曜に自ら手がける惣菜(そうざい)を売る。「トラフグのレモンカレー」や定番の「うちのポテサラ」が飛ぶように売れていく。小学2年になる娘のお弁当を日々インスタグラムにアップし、食育についても発言する。YouTubeの料理チャンネルは酒呑みの男性にも好評だ。
■「トモは料理、上手だよ」 母に背中押され料理の道へ
しかし、ここまでの道のりは、決してまっすぐではなかった。
栗原は1975年、東京都に生まれた。父はニュースキャスターの栗原玲児。
「父が帰ってくる日は、父が食卓につくまで食事は始まらなかった。一家の『長(おさ)』の威厳があったし、テーブルマナーなどにも厳しかった」
いっぽうでバイク好きな父はよくツーリングに連れて行ってくれ、運動会にも参加してくれた。味覚は父の影響が大きいと栗原は言う。
「父はグルメで、いろんな国に行っていろんなものを食べていた。父からさまざまな味を教えてもらいました。自分でも台所によく立っていて、スパイスから作るカレーを初めて食べたのは父のカレー。何週間もかけて作るコンビーフもあった」
栗原が8歳になるころから、母・はるみが料理家として表に出るようになる。「知らない間に鍵っ子になっていた」と栗原は当時を振り返る。
「家族で街を歩いていると母のファンの人に話しかけられるんです。『家族の時間を邪魔しないでよ!』って思ってました」
弟と2人で留守番をするため、母に料理を仕込まれた。まずは味噌汁とチャーハン。最初はだしの素を使い、少しずつステップアップしていく。
「おいしくできると『もうちょっと上手な感じでやってみる?』と、自分でだしをとることを教えてくれる。教え方、上手だったと思います」
ただ弟が料理をできるようになってからは食べる専門になった。弟のほうがうまいし、料理は好きな人がやればいい、と思っていた。
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