すると、北海道運輸局は同年7月29日に修正を指示。そこでも、
<「安全管理規定で定める体制を全従業員が実施できる体制を維持していくためにも、定期的に勉強会を開くなど安全管理体制の構築を図っていくことを確認した」と一文を入れさせてもらいました>
などとして、作ってあげていた。
そして、社長の印鑑など押印して出せば、
<内容に問題なければこのまま受理します(7月30日付)>
と了承する旨も記載されているのだ。
そして最後に、
>受理をもって改善されたということで通常運航をして頂いて構いません<
との文言も。
このようなやりとりで報告書が受理され、知床遊覧船は改善されたと認められていたのだ。
国交省の担当者に、このやりとりについて聞くと、
「知床遊覧船には、電話でやりとりして改善報告書を書くよう指導しました。しかし、小さな会社でどうしても書けないというので、話した内容をひな型にしてメールをしました。結果として、改善の実効性につながりませんでした」
と“コピペ”の改善報告書では今回の事故を防げなかったことを認めた。

国会で、この問題を取り上げた、大串博志衆院議員(立憲民主党)はこう話す。
「昨年10月、国交省は知床遊覧船に抜き打ち検査をしたが、その時も安全管理が不十分だった。知床遊覧船の担当者が不在で記録簿がみつからず、国交省は確認できないと報告している。だが、その後、記録簿については放置されたまま。国交省は、昨年6月の特別監査、10月の抜き打ち検査、その後に再度記録簿のチェックと3度チェックしている。知床遊覧船の安全管理のずさんさや、運航の資格がないことを見抜けたはずです」
その上で厳しく指摘する。
「コピペの改善報告書などは言語道断です。知床遊覧船が自ら問題点を検証して書くべきもの。改善報告書すら書けないというなら、安全に運航できない会社として処分を科すべきだった。そうすれば大惨事は起こらなかった。今回も防げた事故でした」
