作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。
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新型コロナウイルスに罹患し10日間の自宅療養を終え仕事場に戻ると、「すっきり痩せたね!」と声を掛けられることが何度か。症状は軽かったし、ダイエットもしていません。むしろ、食っちゃ寝を繰り返していただけなのに。
先日、友人が簡単な手術で3泊ほど入院しました。食事は病院食のみ。すると、たった3日で3キロも体重が減ったんだとか。私は思いましたね、こりゃ外に出て働くと食べ過ぎちゃうのだと。
私と友人、それぞれの経験で食事の時間やバランスは大きく異なります。私は「おなかが空いたら食べる」で、友人は「規則正しい時間に食事が出てくる」です。にもかかわらず、2人ともスッキリ。この短期間で体脂肪が減るわけはないので、主に余分な水分が体外に排出されただけなのでしょうけれども。
2人の経験に共通しているのは、どちらも体重が減少した期間中は「働かなかった」ことと「視覚的な食べ物の誘惑がなかった」こと。労働自体がハイカロリーを伴うわけではないので(むしろ消耗する!)、食べ過ぎは労働ストレスと誘惑が引き起こすのだと仮定しました。 そんなことを思いながら手帳を見ると、気兼ねしない会食の予定が続いているではありませんか。ああ、これは絶対に食べ過ぎてしまう。楽しいと美味しいが重なれば、どうしたってそうなっちゃう。
ある会食には、20年間モデルを続けている友人が参加しました。スレンダーなボディーにもかかわらず、まあよく食べる。ねえ、どうやってその体形を維持しているの?
彼女は言いました。「よく食べた翌日は、朝にプロテインなどを飲んだら、昼は抜いて夜も軽めにするの」と。翌日に食事の調整ができれば、体重は増えないそうです。なるほど、長年体形をキープしている人がよく言うやつだ。
2年前のダイエットが元の木阿弥と化した私は、あと数キロだけ体重を減らしたい。とは言え、働かないわけにはいかないので、彼女の真似をして翌日の調整を試みよう。
そう決心した翌日。ラジオ番組では試食コーナーが続き、なんとか少しで我慢したものの、次の仕事場に向かう途中に入ったお店で「アイスコーヒーと一緒にグルテンフリーのパウンドケーキはいかがですか?」のひと言で敢え無く轟沈。意志が弱い!
やっぱり仕事を辞めて、引きこもるしかないのかしら。
※AERA 2022年6月13日号