生まれてきた赤ちゃんに障害や病気があると分かった時、ほとんどのケースでは、設備の整った大きな病院で病名などの診断を受けます。パパやママは不安や悩みを抱えながらも、専門医のいる病院を主治医として、その後の赤ちゃんの成長を見守っていくことになります。
大きな病院には同じような重い病気を持つ赤ちゃんが多く通っているため、スタッフも赤ちゃんやパパやママとのやり取りに慣れていて、安心感を与えてくれる場所であると思います。
ただ、その赤ちゃんが15歳を過ぎて小児科を卒業する年齢になるまでには、毎年新たにケアが必要な赤ちゃんが生まれてきます。医療の進歩に伴い、以前は「大人」と言われる年になれなかった赤ちゃんたちが、成人するケースも増えています。
ひとつの病院では抱えきれない患者数になった時、小児科を卒業するお子さんは、別の成人の診療科のある病院や、自宅へ訪問して診察をしてくれる在宅医を探さなければなりません。
今回は障害のある子どもたちが「地域で暮らしていくこと」をテーマに書いてみようと思います。
■主治医の異動に合わせて転院
わが家に双子の姉妹が生まれ、長女に重い障害が残ると分かった時、主治医のター先生は、私たちの不安を全て包み込んでくれるような温かさで寄り添ってくれました。
新生児科の専門医でとても頼りになり、どうしても話が長くなってしまう私にも、時間を気にせず付き合って下さり、こんなに優しい先生にはもうめぐり会えないだろうと、とてもありがたく思っていました。
ところが、その年度末にター先生が他の病院へ異動になることが分かりました。
当時通っていた病院は自宅から徒歩10分程、車なら2~3分の距離にあり、専門外来だけでなく、救急外来を受診する時にもとてもスムーズでしたが、異動先の病院は高速道路を使っても車で1時間以上かかる所でした。小さく生まれた赤ちゃんは風邪をこじらせやすく、その頃は双子の姉妹とも、救急外来を受診しそのまま入院、ということを繰り返していた時期でした。
ター先生の異動先に一緒に転院するか、後任の先生を主治医にするか、夫とともに、何日も考えました。そして結論は、双子の姉妹の成長のフォローは、このままター先生に診て頂くことにして転院を決めました。