6月18日の沖縄大会開幕を皮切りに、今年も各都道府県で夏の甲子園をかけた戦いが幕を開ける。
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夏を前に毎年のように出現するのが、「甲子園で優勝未経験の地域はどこか」という内容の記事だ。今回もそういった趣旨の記事になるのだが、まず前提として春夏の甲子園で優勝していない地区は14県ある。
今回は、春夏とも甲子園で優勝していない14県の中の2県、「山陰両県」と呼ばれる鳥取と島根を取り上げる。
鳥取の甲子園最高成績は、エース宮本洋二郎(元・広島他)を擁した米子東が1960年春に達成した準優勝。決勝は、高松商の山口富士雄に左翼ラッキーゾーンに飛び込むサヨナラ本塁打を浴び、1-2でサヨナラ負け。センバツの大会史で唯一の決勝サヨナラ本塁打という劇的な幕切れ、鳥取だけでなく島根を含めた山陰勢で唯一となる決勝進出として語り継がれている一戦だ。
島根県勢の春夏通じての最高成績は、1917年に杵築中(現・大社)、1923年に松江中(現・松江北)、2003年に江の川(現・石見智翠館)が達成した夏4強。春は1961年に松江商、1983年に大社が達成した8強が最高だ。
鳥取県勢は、1988年春の倉吉東以来甲子園での複数勝利から遠ざかり、島根県勢は昨夏の石見智翠館が2勝を挙げて甲子園8強入りしたものの、春は2009年の開星の初戦突破以降白星がないなど、両県とも全国で苦戦が続いている状況だ。
今回、山陰で奮闘する数名の指導者に「山陰勢が甲子園で優勝するには」というテーマで話を聞いた。結論から言うと、断言できる答えのようなものは見つからなかったのだが、それぞれに示唆に富んだ話が聞けた。今後のヒントになればと思い、4名の指導者の声をお届けする。
1人目は、2003年に県勢最高成績タイの4強入り、昨夏も山崎琢磨(ソフトバンク)をエースに据えたチームで8強進出を果たした石見智翠館の末光章朗監督。自身は高校野球で一時代を築いた超名門のPL学園出身。在学中に、1年先輩だった中日監督の立浪和義らが成し遂げた、1987年の春夏連覇を間近で見ている。激戦区・大阪の野球を肌で知り、自身も社会人野球まで現役を続けた指揮官は、どう考えるのか。