欧州競馬も3歳クラシックの英仏ダービーやロイヤルアスコット開催まで終わり、秋の凱旋門賞に向けての勢力図も徐々に見えてきた。今年は日本からの参戦予定の有力馬も多く、クロノジェネシスとディープボンドが挑戦した昨年以上の注目が予想される。まだ始動前の馬もいるが、ひと足早く凱旋門賞へ向けた注目馬をピックアップしてみようと思う。
英ロイヤルアスコット開催を終えた現地6月18日時点で、大手ブックメーカーが揃って1番人気(3倍前後)に推しているのは、英ダービーを快勝した3歳馬デザートクラウン。好位追走から鞍上のステッキ一発で2馬身半差の勝利と王道のレース運びだった。
英ダービーを1番人気馬が制したのは、2015年のゴールデンホーン以来。そのゴールデンホーンは秋に凱旋門賞を制している。またダービー後に英国競馬統括機構(BHA)が発表したオフィシャルレーティング「123」は、昨年の英ダービー馬で凱旋門賞4着だったアダイヤーの「121」を上回っている。
凱旋門賞を連覇した名牝エネイブルと同じナサニエル産駒で距離に不安はなく、ここまで3戦3勝といまだ底を見せていない。今後のローテーションは現時点で未定だが、凱旋門賞に出てくるようなら中心となるのは間違いないだろう。
仏ダービー馬ヴァデニも前評判が高く、前売りオッズは6倍から9倍。ただし主戦のC.スミヨン騎手がマイルから10ハロン向きと語り、管理する JC.ルジェ調教師も厩舎の先輩である仏ダービー馬アルマンゾル同様に中距離路線へ進むことを示唆していることから、凱旋門賞への出走可能性は高くなさそうだ。
むしろ注目すべきは英オークス2着の牝馬エミリーアップジョンの方だろう。デビュー3連勝で臨んだ英オークスでは出遅れと大外へのコース取りが響いて僅差の2着に敗れたが、長くて豪快な末脚は負けてなお強しの印象。毎年のように言われていることだが3歳牝馬は斤量の恩恵が大きく、この馬が潜在能力を開花させれば牡馬や古馬とも渡り合える可能性は十分にある。前売りオッズも英オークスで後塵を拝したチューズデー(15倍前後)よりも低い7倍から9倍でヴァデニと遜色なく、現地での評価の高さがうかがえる。