腕に浮き具をつけ、自分のペースで泳ぐのを楽しんでいた息子。その後試行錯誤しながら自己流の泳ぎを体得しました/江利川さん提供
腕に浮き具をつけ、自分のペースで泳ぐのを楽しんでいた息子。その後試行錯誤しながら自己流の泳ぎを体得しました/江利川さん提供
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 夏休みに入りました。海やプールなど水に入る機会が多くなる季節です。

 足が不自由な息子は、うまく泳げないものの、プールが大好きです。

 今回は、障害のある子どもの水遊びについて書いてみようと思います。

受け入れてくれるスクールがない

 自宅から1時間ほどのところにあるホテルには、温泉を引いた、お風呂のような水温のプールがあります。水遊び用のおむつをすれば乳幼児も入ることができると知り、息子が1歳になった頃からたびたび訪れています。身体が冷える心配もなく、当時は浮き輪でプカプカと浮くだけで喜び、何度声をかけても出るのを嫌がるほど、息子はプールが好きになりました。

 こんなに好きなら習い事にできないかと思い、親子で通えるスイミングスクールを探しましたが、「脳性まひの子どもは前例がない」という理由で、スクールを見つけることができませんでした。(※現在は、足が不自由でも受け入れ可能なスクールがあるようです)

 そこで、週末など時間がある時に、自宅のお風呂に低めにお湯を入れ、次女と二人で遊べるように工夫しました。泡風呂になる入浴剤や水を使って遊ぶおもちゃなど、当時はよく購入したものです。水を怖がらずに遊べるようになったのは、この頃の経験が大きかったように思います。

体育の授業では腕に浮き具

 小学校に入ると、プールの授業が始まりました。

 1年生の時の担任の先生は、とても豪快で、見守りながらも他のお子さんと同じように、すべり台から水面にダイブさせてくれたり、身体を支えながら一緒に泳がせてくれたりしました。そしてその後、ひとりだけ抱っこや浮き輪は嫌だろうと、体育の先生が提案してくれたのが腕につける浮き具です。両腕以外に身体の支えはありませんが、これをつけると、あおむけでもうつぶせでもきれいに浮くのです。見たにも幼さを感じず、本人も気に入ったようでした。

 小学校高学年になる頃には、介助者が近くにいる環境を嫌がることが増えたのですが、ひとりで自由に泳げることがうれしかったようです。旅行先でも、私や夫の支えなしで彼のペースで遊んでいました。

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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