将来のエース候補として期待されている阪神の西純矢
将来のエース候補として期待されている阪神の西純矢
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 佐々木朗希(ロッテ)の完全試合を含めて既に4人の投手がノーヒット・ノーランを達成し、セ・パ合わせて7人が防御率1点台をマークするなど歴史的な投手優位となっている今シーズンのプロ野球(成績は6月20日終了時点)。佐々木を筆頭に入団3年目以内で活躍している若手も多く目立つが、今後投手王国を築く可能性が高そうな球団はどこになるのか。若手投手の充実度から展望してみたいと思う。

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 セ・リーグではやはり巨人が筆頭になるだろう。育成選手を多く抱えているという物理的な優位面もあるが、それを割り引いたとしても将来が楽しみな投手が非常に多い印象を受ける。高校卒4年目の戸郷翔征が完全にローテーション投手となり、他にも赤星優志、山崎伊織、堀田賢慎など入団間もない若手が先発として戦力になっている。今年は少し停滞しているが、高橋優貴も昨年は二桁勝利をマークしており、まだまだ今後の戦力として期待できる。

 またリリーフではドラフト1位ルーキーの大勢が抑えに定着し、2020年のドラフト1位である平内龍太も欠かせない存在となっている。戸郷は下位指名だが、それ以外の投手は3位以内の高い順位で入団した選手であり、スケールの大きい投手が多いというのも魅力である。二軍では一度育成契約となりながら、再び支配下登録された横川凱が安定したピッチングを続けており、太田龍、山田龍聖、直江大輔といった未完の大器タイプの若手も多く控えている。菅野智之のメジャー移籍を想定して、本格派投手を多く指名してきた成果は着実に出てきていると言えそうだ。

 セ・リーグで巨人と並んで楽しみな若手が多いのは阪神だ。現在の一軍投手陣は先発、リリーフともに30歳前後の中堅が中心となっているが、今後が期待できる若手が着実に揃っている印象を受ける。先発では2019年ドラフト1位の西純矢が出てきたことが非常に大きい。5月18日のヤクルト戦でプロ初完投勝利を挙げるなどここまで3勝をマーク。課題だったコントロールは着実にレベルアップし、将来のエースとして期待できる。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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