●注意は必要だが、受けることができる検査:超音波検査、針生検、マンモグラフィー、造影剤を使用しないCT検査(中期以降)
●リスクと利益を考えた上で慎重におこなう検査:造影剤を使用しないCT検査(前期)、造影剤を使用しないMRI検査
●受けることは勧められない検査:造影剤を使用したCT・MRI検査
――妊娠中でも乳がんの治療はできますか? 妊娠していない時と治療法は異なりますか?
妊娠中でも乳がんの治療はできます。ただし、治療法や妊娠の時期により、胎児に影響をおよぼすことがあります。とくに、胎児のさまざまな器官が形成される妊娠前期は、治療により流産や奇形が生じる可能性があるため、慎重に検討します。
乳がんの診療ガイドラインによると、手術は妊娠前期でも可能ですが、手術時期をのばせるのであれば中期以降にすることが望ましいと思います。薬物療法は妊娠中期以降に一部の抗がん剤のみ使用できますが、放射線治療は妊娠中を通しておこなうことができません。このように、妊婦さんが不安を抱えて過ごすことがないよう赤ちゃんにリスクのある治療は避けますが、一方で、生命を守るために治療をおこなわなければならないケースもあります。
例えば、妊娠初期に乳がんが見つかった場合、手術を中期まで待てる場合は待ちますが、すぐ治療が必要な場合は、リスクを十分に説明した上で手術するか、妊娠をあきらめるか、選択しなければならないこともあります。また、妊娠後期に診断された場合、赤ちゃんの発育をみて早めに帝王切開で出産し、治療を開始することも。このように、がんと妊娠の状態をみながら個々の患者さんに最善と思われる治療法を考えていきます。
――産後の授乳期にはどのような治療をしますか?
産後は、治療に使用する薬剤が母乳を通して赤ちゃんに移行することがあるため、授乳中の薬物療法は避けるべきです。ただし、早期に治療が必要な場合、断乳すれば通常と変わらない治療をおこなうことができます。