眼瞼下垂の重症度

 眼瞼下垂を放置することによるデメリットとはなんだろうか。

■下方が見えづらく認知機能に影響も

「直接的に命に別条はなく、失明するわけでもないですが、瞳孔をまぶたが完全に塞ぐほどの重度になると、下を向いたときにまぶたがより下がって、とくに下方がかなり見えにくくなります。読書がしにくい、足元が見えないなどで生活に支障をきたすようになってきます」(同)

 とくに階段を下りるときに足元が見えないため、思わぬ事故を引き起こす恐れもあり、非常に危険だという。もちろん、軽度でも、見えにくさから生活にさまざまな不便さを感じる場合もある。柿崎医師は、眼瞼下垂で視界が遮られることで低下する生活の質、「クオリティー・オブ・ビジョン(視覚の質)」の観点で早めの受診を勧める。

 松田医師は認知機能への影響も指摘する。

「眼瞼下垂は数年かけて進行し、見えにくさも増していきます。とくに高齢者の場合はその影響は視野だけでなく認知機能にも影響します。白内障と同様に、眼瞼下垂を放置すると認知機能が低下するというデータもあります。疑われる症状がみられたら、早めに眼科もしくは形成外科を受診しましょう」

(文・石川美香子)

※週刊朝日2022年7月1日号より

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