ソフトバンク・高橋純平(左)とロッテ・平沢大河(写真提供・福岡ソフトバンクホークス/千葉ロッテマリーンズ)
ソフトバンク・高橋純平(左)とロッテ・平沢大河(写真提供・福岡ソフトバンクホークス/千葉ロッテマリーンズ)
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 プロ入り4年目での根尾昂(中日)の投手転向が話題となっているが、最近は大きな期待を受けてドラフト上位指名で入団した選手も比較的早く見切りをつけられるケースも少なくない。育成選手制度ができてからは、いきなり退団とはならなくても、育成再契約となる選手も増えているのが現状だ。特にプロ入り後5年を過ぎると立場が危うくなると言われているが、今年でプロ入り6年目以上でそろそろ結果を残したい上位指名の選手をピックアップしてみたいと思う。

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 今からちょうど6年前、2016年のドラフトは高校生、大学生とも投手が豊作と言われた年であり、1位と2位の全24人のうち20人が投手となっている。しかし山岡泰輔(オリックス)、堀瑞輝(日本ハム)などはチームに欠かせない戦力となっているが、苦しんでいる選手も多いという印象だ。

 中でも苦しい立場となっているのがこの年の目玉と見られていた田中正義(ソフトバンク)だ。大学時代から肩に不安があったが、プロ入り後も故障を繰り返しており、過去5年間で29試合の登板、0勝1敗1ホールドという寂しい数字に終わっている。昨年はようやく自己最多の18試合に登板して防御率2.16と開花の兆しを見せ、今年はローテーション入りも期待されていたものの、開幕直前に右肩の違和感を訴えて戦線離脱。現時点で二軍での登板もない状況が続いている。大学3年時に行われたNPB若手との交流試合では150キロを超えるストレートを連発して7者連続三振を奪ったピッチングは強烈で、復活を望む声も多いが、他にも若手の有望株が多いチーム事情を考えると、極めて苦しい立場であることは間違いない。後半戦には何とか復調の兆しを見せてくれることを期待したい。

 同じ年に入団した高校生の投手で苦しんでいるのが藤平尚真(楽天)と寺島成輝(ヤクルト)の2人だ。藤平は1年目に3勝、2年目に4勝と順調なスタートを切ったが、3年目以降は低迷。昨年は二軍でも防御率7点台と苦しいシーズンに終わった。今年もここまで一軍での登板は3試合のみ。二軍でも防御率が5.68と、なかなか浮上のきっかけを掴めていないのが現状だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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