与野党ともに米国が正しい(ロシアが悪い)になってしまっていますが、そこもしっかりたださないといけません。もちろんロシアのウクライナ侵攻は国際法違反ですから、非難されてしかるべきです。一方、ウクライナにNATOのミサイルが配備されるということは、60年前のキューバ危機と同じです。キューバにソ連のミサイル基地を建設していることを知った米国は「核戦争も辞さない」というくらい激怒しました。ウクライナの国境はモスクワのすぐそばですから、NATOのミサイルが配備されたら、ロシアはのど元に核を突き付けられることになります。現在の状況はバイデン大統領がロシアを追い込んだ側面もあります。「ロシアを倒そう」になっていますが、そんなことは不可能だし、ロシア人はずっと米国やEU諸国、日本を憎み、対立が構造化します。折り合いをつけて停戦して、両方が負けていない状況を作り、何十年もかけながら国境線を整備していくしかないんです。岸田内閣の外交方針として、「これでいいんですか」と問われないといけないところです。
「選挙に行こう」だけでは投票率は高くならないと思います。投票に行っても、自分の入れた人はなかなか当選せず、本当に主権者なのかという「主権からの疎外」を抱えます。駅前のシャッター街をどうにかしたい、保育園に応募したけど外れてしまった──こんな自分たちの住んでいる自治体の問題も政治です。違う意見との折り合いをつけながら最終的にゴールしていくことが政治です。日頃から政治を「自分ごと」にし、幾多のルートを持つことが真の民主主義であり、投票率にもつながるのだと思います。
(構成/編集部・三島恵美子)
※AERA 2022年7月4日号