「本校を地域のハブとして、開かれた学校にしていきたい。生徒を社会につなげるために、企業の協力を得ながら、さまざまな体験をさせていく予定です」(山崎副室長)
そのひとつが総合探究の一環として6年間かけて行う「起業教育」だ。中学では課題発見や解決能力を身に付け、高校でマーケティングを学び最終的に起業を目指す。3Dプリンターを設置し、アイデアを形にできる設備なども整える。
「日本で一番起業する学生が多いのは東大です。大学生ができるならば、高校生もできないはずはありません。周辺にスタートアップ企業も多いので、協力をお願いしていきます」(同)
■国際色を打ち出す
改革により大きな飛躍を遂げたのが広尾学園。海外大学に200人あまりの合格者を出す、日本屈指のグローバル先進校だ。その姉妹校として21年に村田女子から校名変更し、共学化したのが広尾学園小石川だ。初年度から3801人と都内で志願者を一番多く集めたが、22年度は4047人とさらに上回り、2年連続で都内での志願者数ナンバーワンになった。松尾廣茂校長は「本校の教育が認められた成果」と話す。本科とインターナショナルの二つのコースで、国際色の強い学校を打ち出している。
松尾校長をはじめ広尾学園から18人の教員が着任し、授業のカリキュラムも広尾学園を踏襲する。クラブ活動を一緒に行ったり、キャリア教育は広尾学園で行うなど、交流をはかる。オーストラリア研修も一緒に行く予定だ。
「いわば広尾学園が7組まで、8~10組が本校というイメージです」(松尾校長)
ユニークなのが、地の利を生かした二つのコラボレーション。東洋学分野では東洋文庫と提携し、同館利用のほかワークショップを開催。この4月には、インターナショナルコースの生徒を対象に英語で学ぶ狂言を実施した。もうひとつが男子大学生寮・和敬塾との連携だ。「同塾には、宇宙飛行士を目指しているなど、志の高い学生が多い。年の近い学生から話を聞くことで、生徒が影響を受けている」(同)
「創造的破壊」を標榜しているのが、20年に共学化し小野学園から校名変更した品川翔英だ。
学校の「あたりまえ」をなくして、生徒の選択肢をふやした。そのひとつがクラス担任の廃止。12人の教員団が中3までの9クラスすべての生徒を担当し、さらに生徒が選んだ教員がメンター担任として約30人の生徒をみる。教員は紹介シートを作り、生徒がそれを見て第3までメンターの希望を出す。