大相撲中継を見ていて、ユニークな化粧まわしに目を奪われたことはないだろうか。漫画やアニメの人気キャラから、自治体のゆるキャラまで、ちょっと調べただけでも、実に多彩だ。
* * *
今月10日に始まった名古屋場所。土俵入りで大関の御嶽海が締めた新しい化粧まわしがひときわ目を引いた。
ピンクの下地に、人気不良漫画「WORST」の登場人物「河内鉄生」があしらわれている。漫画の作者、高橋ヒロシさんは御嶽海の地元・長野県の松本市在住。故郷からのエールとも言える。
化粧まわしは、大相撲の土俵入りで十両以上の力士(関取)が締める。
御嶽海だけではない。
5月の夏場所には、大手菓子メーカー不二家のキャラクター「ペコちゃん」(正代)と「ポコちゃん」(豊山)がそろい踏み。3月の春場所では漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の人気キャラ「岸辺露伴」(志摩ノ海)が注目された。少しさかのぼれば「くまモン」(佐田の海)、「せんとくん」(徳勝龍)といった自治体のゆるキャラが話題になったこともある。
また、元横綱稀勢の里(現・二所ノ関親方)が現役時代、漫画「北斗の拳」の「ラオウ」をあしらった化粧まわしを締めていたことを覚えている人は多いだろう。2017年の横綱昇進時に贈られたものだ。横綱の化粧まわしは3本1組の「三つぞろい」。太刀持ちの化粧まわしはラオウの弟で主人公の「ケンシロウ」、露払いには次兄「トキ」が描かれた。
最近、こうした個性的な図案や、かわいいデザインが増えているのはなぜか。日本相撲協会の相撲博物館で学芸員を務め、相撲や相撲文化の歴史に詳しい土屋喜敬さんは「目を引くデザインを好む人が増えているのでは」と言う。
土屋さんによると、化粧まわしの図案は力士本人や所属する相撲部屋、後援会やスポンサーといった贈り主の意向やこだわり、力士や部屋と贈り主の関係で決まる。
力士が一堂に会する土俵入りで目立ったほうが、観客や視聴者の視線を集め、スポンサーの名前も伝わりやすいと考える人もいる。