通常の医療費控除とセルフメディケーション税制で
おトクなのは?

 では、スイッチOTC医薬品を含んだ医療費の支払いが10万円を超えていた場合、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の併用は認められるのでしょうか? 残念ながら不可です。どちらかを選択しなければなりません。

 どちらを選択するのがトクかは、ケースによります。いずれにしても戻ってくる金額は「控除額×所得税・住民税の税率」のため、控除の対象額が多くなるほうを選びましょう。

<ケース>
●「従来からの医療費控除」と「セルフメディケーション税制」の比較例
 医療機関および調剤薬局への支払い:8万円
 セルフメディケーション税制の対象となる市販薬の購入費用:6万円
 保険等からの補てん:0万円
※総所得金額等200万円以上
(1)通常の医療費控除の控除対象額
 (8万円+6万円)-10万円(総所得金額等が200万円以上の人の場合)=4万円(総所得金額等から差し引ける控除額)
(2)セルフメディケーション税制の控除対象額>
 6万円-1万2000円=4万8000円(総所得金額等から差し引ける控除額)
 上記のケースでは、セルフメディケーション税制のほうが、控除対象額8000円多くなるのでおトクです。自分のケースで計算してみて判断しましょう。

 なお、共働きの場合には、夫婦それぞれが確定申告を行い、一人が医療費控除、もう一人がセルフメディケーション税制を受けることもできます。ただし、収入の多い側にまとめたほうが、通常は節税効果が大きくなります。

新型コロナ関連の予防や
検査にかかった費用はどうなる?

 新型コロナに感染し、その治療にかかった費用は、言うまでもなく医療費控除の対象となります。では、PCR検査費用はどうでしょうか?

 PCR検査費用は、検査を受けた理由によります。検査理由が医師等の診断による場合は医療費控除の対象になります。一方、自分の判断で受けた場合には、医療費控除の対象にはなりません。ただし、検査の結果、陽性であることが判明して治療を行った場合には、治療に先立って行われた診療と位置付けられ、医療費控除の対象になります。

 なお、マスクの購入費用については、感染予防が理由となるため、医療費控除の対象にはなりません。

(株)ノート・Business Train 税理士・土屋裕昭 

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