医療費控除を申告する前に、
高額療養費制度の申請を済ます
確定申告(所得税)とは直接関係のない制度ですが、医療費の負担を軽減する公的な制度には、「高額療養費制度」もあります。高額療養費制度は保険給付の一種で、同一月(月初から月末まで)に支払った医療費(保険適用分のみ)が一定の金額(自己負担限度額※世帯合算可)を超えた場合、自分が加入している公的医療保険へ申請すると、3、4ヵ月後に払い戻される制度です。
では、医療費控除の確定申告と高額療養制度の申請のどちらを優先すればいいのでしょうか。前項で「高額療養費のほか……健康保険組合や生命保険等から補てんされたものは、支払った医療費から差し引く」とお話ししました。この仕組みにより、たとえば令和4年に振り込まれた高額療養費が令和3年中に支払った医療費に相当する場合、令和3年分の医療費控除を計算する際にこぼれてしまう可能性があります。つまり、高額療養費が払い戻される前に確定申告を済ませてしまうと、修正申告等が必要になるケースが出てきます。
そのため、これから令和3年分の高額療養費を申請する人、申請済みだがまだ払い戻されていない人は、払い戻しを待ってから確定申告を行ったほうが修正申告等の心配がなくなります。ただし、本来の確定申告の期限である3月15日を過ぎると、延滞税や加算税が課せられる可能性があるため、高額療養費を申請する人は一刻も早く手続きを済ませることです。