――学ぶことはアイデンティティーだ。それに気づいたのは、ジャニーズ Jr.として切磋琢磨するなか、「自分には秀でたものがない」と感じたのがきっかけだ。もともと得意だった勉強を武器にしようと、芸能活動と学業を両立させることを目指し、2018年にはジャニーズ初の“院卒アイドル”になった。大学在学中に気象予報士の資格を取得したのも、その一環だ。

阿部:当時は、まさか気象予報士の資格が直接お仕事に結びつくとは思っていませんでした。「ジャニーズ初」で注目してもらい、Snow Manをより多くの人に知ってもらって好きになってほしいという一心でしたから。でも、せっかく気象予報士の資格を取ったので、何かに生かしたかったんです。いろいろな方に相談した結果、出演していた舞台の楽屋口付近に、僕なりの天気予報を貼る取り組みを始めました。そうしたら、お客さんの目に触れるロビーに貼ってもいいよ、という許可が出て。

■焦りより「頑張ろう」

――A4用紙に手書きされた「あべちゃんの天気予報」は、いつしか出演する舞台の名物になった。「阿部亮平」という人間を、多くの人に印象付けた。

阿部:僕としては「誰かに届け~。偉い人に届け~」という(笑)、祈るような思いでやっていたことでしたが、今は広島テレビさんで防災の番組をやらせていただいたり、天気予報の側面からSDGsを考える番組「Live News イット!」のスペシャルキャスターもやらせていただいたりするようになりました。ここまで直接的にお仕事につながってきたのは、自分の中では「革命」だと感じています。

――Snow Manは20年にデビューするとミリオンヒットを連発し、大人気グループになった。頑張るモチベーションとなっていた「もっと知ってほしい」は十分達成したように見える。

阿部:まだまだSnow Manを知らない人はたくさんいるので、自分だからこそできる、グループに貢献できることをもっと増やしていきたいんです。

 去年は、他のメンバーの仕事がどんどん決まっていく時期があって、本当に「すごいな、俺ももっと頑張らないとなぁ」と思っていました。

――それは「焦り」にならなかったのか。そう尋ねると、丁寧に言葉を継いだ。

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