■自分軸を持ちながら相手を尊重する
「人たらし」が絶対使わない言葉とは?

 さらに「人たらし」が共通して持つ特徴は、自分の軸を持ちながら相手を尊重しているということです。

 相手を尊重するというと、とりあえず相手の言うことに従ったり、相手の言いなりになってしまったりと、自分の主義主張なく相手に迎合することと勘違いしている人も多いのですが、決してそうではありません。

 相手を尊重するということは、自分のポリシーを持ちながら、相手の意見に耳を傾け、否定することなく認めることです。「人たらし」は相手を認めるということが徹底されています。

 相手を尊重しているかどうかは、何気ない会話で飛び出す言葉に表れます。

 相手を尊重している「人たらし」が絶対に使わない言葉があります。それは「でも」です。ステイタスの高い人は自分軸があるため、相手を否定しているつもりがなくても自分の考えや意見を主張しがちです。「でもね、それはこうだよね…」と優しい口調で言われたとしても、「でも」から始まる会話は相手の意見を否定していることになります。本人は無自覚で口にしているのかもしれませんが、「でも」が多いと相手も否定されている感が強くなっていくのです。

 ファーストクラスで出会った「人たらし」は、「でも」を使いません。

「なるほど」、「そうなんですか!」と、まず相手を認めることから始まります。最終的に自分の意見を言ったとしても、「でも」を使わないだけで相手は自分を認めてもらえたという気分になるのです。自分を認めてくれた人を悪く思う人はいないものです。何気ない会話から、相手はそれを敏感に感じ取り、好きか嫌いかを判断するのです。

 ファーストクラスでは、「アイドルタイム」と呼ばれる食事や免税品販売などのサービスが終わった時間帯に、お客様と雑談することがあります。

 ある鉄鋼関係の会社社長とお話をしたときのことです。お客様との会話ではCAは聞き役に回ることが多いのですが、その社長との会話は自分でも驚くほど私が話し込んでしまったのです。人生経験もビジネスの経験も豊富な日本を代表する企業の代表です。「へえ~、そうなんですね。それからどうしたのですか?」「なるほど、それでどうなったのですか?」と私の話を否定することなく会話が進んでいくのです。

「でも」を使うことなく、進められた会話はとても心地いいものです。

 あまりに長く話し込んでしまいましたので、部下が心配して途中で割り込み会話は終わったのですが、もっと話をしたいと思うほど引きつけられた「人たらし」だったのです。

暮らしとモノ班 for promotion
「なんだか不調」は冷房病が原因かも?おすすめエアコン冷え対策グッズ
次のページ
「人たらし 」の最大の特徴とは…エグゼクティブの振る舞い