■第一印象で「この人は何かが違う」と思わせる
人たらしの社長とは?

 「人たらし」の特徴は、まず個性的であることです。ここでいう個性的とは、自分の信念やポリシーが際立って表面化しているということ。奇抜さや悪目立ちしていることとは違います。

 いつも穏やかな表情で誰に対しても好印象を与えるという個性もあれば、仏頂面で何を考えているのかわからない、ちょっと近寄りがたいという印象を与える個性もあります。良いも悪いも、第一印象で「この人は何かが違う」と思わせるどこかとがっているオーラを漂わせています。そして、実際話してみるとその第一印象が大きく覆されることが多いのです。

 二人のお客様とのエピソードを紹介させてください。

 まず、米国・ロサンゼルスからの帰り便でのことです。サービスに対して厳しい目をお持ちと有名な社長がご搭乗されました。お世辞にも愛想が良いとはいえないくらい不愛想で、話しかけるのも勇気がいるほど威圧的な雰囲気をお持ちです。何を話しかけても感じの良い返答は返ってこないのですが、お食事をお持ちしたり雑誌をお持ちしたり、何かをして差し上げると必ず丁寧に「ありがとう」とおっしゃり、最後にニコッとほほえみを返してくださるのです。

 どちらかといえば感じの悪い印象を与えるお客様でしたが、「ありがとう」をきちんと口にし、最後には目線を合わせてほほえむ姿に、サービスにあたったCA全員が心を奪われたのです。

 また逆のケースでは、ご搭乗のときからニコニコと愛想が良く、とても親しみやすい雰囲気でCAとも気さくに会話をしてくださるお客様が、サービスの不手際を指摘されたときのことです。CAがお客様と雑談している声が大きいとご指摘されたのですが、怒りを表すことなく、丁寧な口調で、「楽しく会話されているところ申し訳ないのだが、少し休みたいのでもう少しだけ小さな声でお願いします」とご指摘されたのです。そして最後は、きちんと目を見て「ありがとう」とおっしゃりました。

 このときは厳しくクレームされたわけではありませんが、こちらが襟を正さないといけないと思わされるような説得力があり、お人柄にとても引かれた経験でした。

 人を引きつける魅力の一つは、個性が際立つ第一印象とその第一印象が実際のお人柄とギャップがあることです。どこかに「あれ?」っと思わせる言動が垣間見えると、人はより深くこの人のことを知りたいと思うものです。

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「人たらし」が絶対使わない言葉とは?