地方と都会の格差を実感しつつ、それが強みにもなったと話す松野さん(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
地方と都会の格差を実感しつつ、それが強みにもなったと話す松野さん(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

■東京の高校生と会って気づいた地方との格差

――地方ならではの困難を感じたことは。

松本:アジアサイエンスキャンプという学者と学生の交流プログラムがあるのですが、私は何カ月もかけて応募書類について調べて学校の先生を説得し、ようやく応募することができたんです。そこで東京の高校生と会ったのですが、「学校の壁にポスターが貼ってあって、先生に勧められた」「このキャンプ、何をするのかわかってないんだよね」と言うんです。頬をひっぱたかれたような衝撃でした。海外大受験の推薦状にしても、先生に普通に書いてもらえたり、出身校について英語で説明する書類も、もともと学校が準備してあったり。東京の子がエッセイを書いている間に、私は出身校の説明文を書いている。その差は大きかったですね。

松野:自分から能動的に動かなくても情報が入ってくるので、課外活動は首都圏の学生のほうが参加しやすいんですよね。さらに出願するときには、学校の先生の理解や、学校がもつリソースの差も大きい。私の場合も、先生にアメリカの大学に出願するプロセスを一から説明しました。またスクールプロファイルはほとんど私が書いて、推薦状も「こういうことを書いてほしい」とかなり細かく先生にお願いしました。あの労力をほかの部分に割くことができていれば、エッセイ執筆や他の部分にもう少し時間をかけられたかもしれないし、夜はもっと早く寝られたかもしれない(笑)。

松本:うんうん、本当にそう(笑)。私たちは合格したからそれもいい経験だったと言えるけど、もし全落ちしていたら、先生や学校のことを恨んでいたと思う。自分は地方と都会のギャップを埋めてここにいるけれど、海外大進学の現実を周知することで、この埋める作業の労力を縮めていきたい。

松野:その努力の一つがatelier basiでの活動ということですね。そうした地方と都会の格差を感じた一方で、高3になると、客観的に見られるようになった部分もあります。格差がある中で、自分がどのように課外活動などを頑張ってきたのかをアプリケーション(願書)で強調できたからです。

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