■スタンフォードから届いた「あなたを合格にした理由」
松本:地方だからこその努力は無駄にならなかった。日本の大学受験では一定の点数を越えないとだめだけれど、アメリカの大学では、スタートラインが低いところから努力してある程度のところまで昇ったことを評価してくれる。私は課外活動にしても自分で全部調べて、やりたい研究プログラムがないから企業に直接メールを送ってお金を出してもらうなどの経験を通じて、自分も行けるんじゃないかと海外大受験の自信がついてきました。
松野:海外大は総合評価なので、例えば学力が好ましくない人でも、原動力があって何かを成し遂げたとか、壮絶な環境のなかで努力したとか、そういったコンテクスト(文脈、背景)を考慮して合格者を選定しているんですよね。現状としては、日本からは都市部出身者が合格することが多いですが、地方からチャレンジする人が少ないというだけだと思います。リソースが限られた環境で頑張ってきた人と、周りにいろいろなリソースがあって自分からはとくに何もせずに実績をつくった人がいれば、前者が評価されると大学の審査官から聞いたことがあります。
松本:大学合格後、スタンフォードから届いた手紙に「あなたを合格にした理由」というものが書いてあったんです。「あなたの、周りから定められた可能性すべてを突破し、つかめるチャンスをすべてつかみ、前例がないなら自分が前例になるという貪欲な姿勢に、私たちは感銘を受けました」というような内容でした。やっぱりそういうところをちゃんと見てくれているのだと思います。
松野:私もハーバードの面接で、担当者の方と話が盛り上がりました。大学に行くのは全生徒の10%もいないという高校からハーバードに行った人で、地域の格差や困難など思うところがあったようです。自分のそういったバックグラウンドが、海外大受験ではむしろ強みになったのかなと思います。
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(構成/白石圭)