「金魚鉢」に座る小池百合子知事(撮影・上田耕司)
「金魚鉢」に座る小池百合子知事(撮影・上田耕司)

 とにかく、小池氏と平候補は人波の中をかきわけながら事務所前を歩き、報道陣も区民もその姿をカメラやスマホで撮影しまくっていた。

 小池氏はひとことも話すことなく、10分足らずでガラス張りの選挙カー「金魚鉢」に再び乗り込んだ。

 車が動き出すと、記者はあとを走って追いかけ、信号待ちで止まった「金魚鉢」の中で、座る小池氏を激写した。

 同じ千代田区から出馬するライバル、自民党公認の内田直之候補の陣営へ行くと、片山さつき参院議員が激励の挨拶をしていた。内田候補は「都議会のドン」こと内田茂氏の娘婿で市議3期の実績がある。

 集会の途中、「朝日健太郎国交政務官が来る予定でしたが、熱海市の土砂災害の対応でキャンセルになった」とアナウンスされた。

 千代田区の情勢について、元NHK記者で衆参国会議員の政策担当秘書を務めた経験のある選挙アナリストの平木雅己氏はこう話す。

「自民党の内田候補は国政比例票1200~1300を持つ公明党支持層にも働きかけを強めている。共産党の富田候補も国政比例票2100~2200の上積みを図りながら、票を固めている。都民ファの平候補は板橋区からの選挙区替えで立候補しましたが、準備や知名度不足は否めません。自民党の内田候補が優勢です」

 だが、この流れは小池氏のサプライズ参戦で混戦となっているという。
 最終日の内田候補の集会場には、杖をついて歩くドン内田氏の姿があった。小池知事について質問すると、そばにいたスタッフが「取材はお断り」と手でさえぎった。その瞬間、ドン内田氏はよろけてしまい、記者はドンの老を感じた。

娘婿の候補の応援に現れた「都議会のドン」内田茂氏(撮影・上田耕司)
娘婿の候補の応援に現れた「都議会のドン」内田茂氏(撮影・上田耕司)

 自民党の都議選の応援弁士として大車輪の活躍をしたのは、丸川珠代五輪相だ。東京五輪・パラリンピック開催を目前に控え、公務そっちのけで1日10選挙区を回る体力もすごいが、男性候補者とハグをしてパワーを注入するサービスぶりだった。

 現在、アラフィフの丸川大臣だが、多忙な日々の中にあっても美への執着があるようだ。

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