2016年、「保育園落ちた日本死ね!!!」という言葉がユーキャン新語・流行語大賞を受賞するなど、待機児童問題が大きな注目を浴びた。あれから5年、現在の日本の保育園事情はどうなっているのか。東大のキャンパス内には自治体保育園を利用できない学生・教職員向けに、保育園が設置されている。学内保育園設立の主体となった東大男女共同参画室と、実際の利用者へのインタビューを基に、その実態を探る。(東大新聞オンラインから転載)
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■激しい「保活」の戦い 大学の取り組みは
親が子供を日中施設に預ける際、主な選択肢には認可保育園、幼稚園、認定こども園などが挙げられる。これらの他に企業や大学といった事業所内に設置された保育施設や、「東京都保育認証保育所」などの自治体独自の施設、その他の認可外保育施設を利用することもできる。幼稚園が教育を目的とする施設であるのに対し、保育園は仕事や介護などで保護者が保育することができない子どもを、保護者に代わって預かり保育するための施設だ。そのため、入園に際しては保護者の就労状況などが問われる。
自治体ごとに細かな条件は異なるが、本郷キャンパスのある文京区では、父母の労働状況などを点数換算した「基本指数」と、小さなきょうだいがいるかなど、その他の要因について点数換算した「調整指数」の和で「選考指数」が決まる。「選考指数」は一般に「保育の点数」などと呼ばれ、定員を越える入園希望者がいた場合はこの「点数」が高い順に入園が決まる。週5日以上(月20日以上)にわたり、日中8時間以上の勤務を常態としていれば「点数」は10点。一方で学生は同じ時間就学していても「点数」は8点となり、就労している場合よりも選考において不利になってしまう。入園希望者が多い時には、両親ともに就労していたとしても選考に落ちるケースが多々ある。
子どもが入園できる保育園を探す活動、通称「保活」は、認可保育園の定員が少ない自治体では困難を極める。認可外の保育園やベビーシッターに預けながら働いた経験があると加点につながるケースがあるため、その実績を作ることが「点数」を稼ぐための「保活の裏ワザ」として、インターネット上で紹介されるほどだ。