次のカットが、お膝元の京都市梅小路公園で1994年から動態保存されているN電27号。2014年にリニューアル改造を受け、リチウムイオン電池動力方式に改造された。休祭日や夏休みに運行されており、体験乗車で往時の雰囲気を十分に楽しめる。
N電にまつわる朗報をお伝えする。1961年7月の北野線廃止以来、京都市内・平安神宮で保存されてきたN電2号が、2020年3月19日に重要文化財指定に答申された。路面電車としては初めての快挙で、拍手を送りたい。
路面電車の「始祖」は空襲で焼失
次は第3回内国勧業博覧会に出展された「スプレーグ式電車」の写真。車体と台車は米国ブリル社製、スプレーグ製15馬力の電動機を一基搭載しており、観覧者を乗せて会場に敷設された約400mの軌道を往復した。二両輸入された一両を東京市電が引き継ぎ、路面電車の始祖として青山車庫に保存されていたが、1945年の空襲で焼失した。
余談になるが、戦火により「スプレーグ式電車」の木造車体は焼尽したが、焼損した台車と電動機が荒川車庫の片隅に保管されていた。これらの遺物は歴史的価値を解さない当局の方針で廃棄処分されることになった。
次のカットが「スプレーグ式電車」が装備していた単台車で、学生時代の筆者が荒川車庫で対面している。1890年に渡来してから、76年の歳月が流れた1966年の撮影だった。この話の続きは次号で。
■撮影:2008年5月18日
※AERAオンライン限定記事