救援陣の疲弊も気になるところだ。救援陣の防御率4.05はリーグワースト。中川皓太が腰痛で今季1軍登板なし、ビエイラ、デラロサの両外国人も状態が上がらずにファームで調整している。鍬原拓也、平内龍太がセットアッパーとして組み込まれているが、1軍で1年間投げた実績がないため勝負の夏場を乗り切れるか不安が残る。今月5日に新外国人左腕のイアン・クロルと契約合意を発表したが、スポーツ紙記者は「クロル1人を補強しても、救援陣を酷使するような起用法が続く限り状況は好転しないでしょう。投打でヤクルトとの差は大きい。今の巨人はCS出場圏内に入れるか微妙な立ち位置が実力です。暗黒時代に突入しなければいいのですが…」と表情を曇らせる。

 巨人は低迷期に入ると、外部からの戦力補強でテコ入れしてきた歴史がある。4年連続V逸した2006年オフは日本ハムからFA宣言した小笠原道大、オリックスからトレードで谷佳知を獲得した。2年連続V逸した11年オフはFAで横浜(現DeNA)の主砲・村田修一、ソフトバンクのエース・杉内俊哉を補強。4年連続優勝から遠ざかり、原監督が3度目の監督に就任した18年オフは広島・丸佳浩西武・炭谷銀仁朗をFAで獲得。さらにオリックスを退団した中島宏之、前マリナーズの岩隈久志の獲得にも成功した。上記の戦力補強を行った3度のケースはいずれもV奪回に成功している。

 今年2年連続リーグ優勝を逃すとなると、外部からの戦力補強に動く可能性が十分考えられる。だが、セリーグ球団の編成部担当は「そのやり方が通用しなくなっている」と指摘する。

 「今年のオフはFAで目ぼしい選手がいない。また、中日大野雄大、ヤクルト・山田哲人、広島・大瀬良大地が残留したように一昔前の選手たちと違い、お金よりプレーの環境を重視する傾向が強い。FAで獲得しても戦力にならなかったケースも多い。巨人がDeNAからFAで獲得した井納翔一は2年間ほとんど1軍で投げていないし、梶谷隆幸も故障で今年は1軍出場なしと稼働していない。有能な外国人選手も球団フロントが国内他球団に流失しないように上手に契約を結ぶケースが多い。ソフトバンクがそうだったように、育成に長けたチームが常勝軍団を築く時代が続くでしょう」

 百戦錬磨の名将・原監督はチームをどう立て直すか。(梅宮昌宗)